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改正労働基準法

第062_2号 1999年5月

★ はじめに

改正労働基準法が平成11年4月1日より施行されています。

今回の改正は50年ぶりの抜本改正といわれるほど内容が多岐にわたるもので、事業主としては就業規則などの見直しが必要となります。

改正事項のなかのいくつかの重要ポイントをみていきます。

1. 女性の時間外労働・休日労働

これまで女性の時間外労働や休日労働に対しては、一定の規制が設けられていました。しかし、今度の改正でその規制が撤廃され、女性に対しても男性と同じように時間外労働や休日労働を命令できるようになりました。

2.労働条件の明示

従来、労働契約を締結する時には、賃金に関する事項のみ書面で明示すればよかったのが、加えて、次の事項も書面明示しなければならなくなりました。

  1. 就業場所・従事すべき業務
  2. 労働時間に関する事項
  3. 退職に関する事項
  4. 労働契約の期間

3.退職時の証明

これまで労働者は退職時に使用者に対して

  1. 使用期間
  2. 業務の種類
  3. 地位
  4. 賃金

についての証明を請求できましたが、さらに「退職の事由」の証明を請求できるようになりました。

4.年次有給休暇

年次有給休暇は年間20日を限度に、勤続年数に応じて日数が加算されます。従来6ヶ月継続勤務した後、最初の10日間に1年ごとに1日の有給休暇が追加されていました。

今回の改正で3年6ヶ月継続勤務後は1年ごとに2日加算されることになりました。

5.就業規則の別規定

今まで就業規則の内容で別規定にできるのは

  • ①賃金
  • ②退職手当
  • ③安全衛生
  • ④災害補償
  • ⑤業務外の傷病扶助

に限られていました。

今回の改正でその制限が廃止され、さまざまな事項を別規定とすることができるようになりました。

6.法令等の周知義務

これまで事業主は社員に対して労働基準法などの法令および就業規則を周知させる義務がありました。今回の改正で労使協定、労働委員会の決議についても周知することが義務づけられました。

その他、変形労働時間制や裁量労働制などについても改正が行われています。


労働基準法は使用者が労働者を雇用し、管理するのに最低限の条件を規定した法律です。

就業規則が労働基準法に合致しているかどうか今一度再チェックする必要があります。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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