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厚生年金の適用

第121_2号 2004年5月

1.はじめに

最近、なにかと年金が話題になっていて、年金に対する関心が高まってきています。そこで今回は、働く人が加入する「厚生年金」について簡単に勉強してみましょう。

2.適用事業所とは?

厚生年金保険法は、常時従業員を雇用する法人の事業、従業員を五人以上雇用する個人事業について強制適用事業とし加入を義務付けています。 しかし、個人事業で5人以上の従業員を雇用していても、理髪店などのサービス業・神社や寺院といった宗教業・弁護士事務所、税理士事務所、社会保険労務士事務所といった法務業については強制適用事業とされていません。

3.適用される従業員は?

季節的、臨時的に雇われているなどの適用除外者を除き全ての従業員に適用されます。パート従業員の適用についてはおおよその基準があり、1週の所定労働時間や1ヶ月の所定労働日数がその事業場に雇用される正規従業員の4分の3以上であれば適用されます。また、役員については、報酬のない非常勤役員は適用除外となります。

4.保険料は?

保険料は被保険者資格を取得する際に、賃金月額を基準に設定された標準報酬をもとに決定されます。賃金月額を社会保険事務所に申告し、決められた保険料を毎月支払うわけです。保険料は労使折半で負担し、保険料の納期限はその月の翌月の末日となっています。

5.保険料が高いので・・・

「保険料負担が大きいので何とかして保険料を節約できないものか?」

「賃金月額を過少申告すれば保険料が高くならずにすむのでは?」

このように考える事業主さんは意外と多いのではないでしょうか。一見名案のように思えますが、事業所は年に一回標準報酬月額の見直しのため、算定基礎届の提出が義務付けられており(これを標準報酬月額の定時決定といいます)、その際に賃金台帳・源泉所得税領収証所の添付が必要とされているため、賃金月額の過少申告、すなわち虚偽の報告をしたことがここで発覚してしまいます。役所への虚偽の報告は立派な法律違反として扱われ、罰則は「6ヶ月以下の懲役又は20万円以下の罰金」となっています。

6.いっそのこと未加入で・・・!?

強制適用事業にもかかわらず未加入の事業所に対しては「保険料を滞納する可能性がある」とのことから加入を強制することはしてこなかったようです。しかし、年金制度の空洞化が問題となっているということもあり、今後、強制的に加入させる手法の導入が検討されるという話を聞きます。強制適用事業で未加入の事業主には法律上「6ヶ月以下の懲役又は20万円以下の罰金」が科されるということになっています。

7..最後に

年金は老齢給付だけでなく、障害や遺族に関する給付もあることをお忘れなく!!

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