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賃金支払の原則

第133_2号 2005年05月

1.はじめに

毎月、事業主は従業員に給与を支払っています。その毎月の給与の支払には一定のルールがあるのをご存知でしょうか。このルールは「賃金支払の5原則」などと言われています。以下説明します。

2.給与は通貨で支払う

給与は通貨で支払わなければなりません。ここでいう通貨とは、日本国内で強制通用力をもつ貨幣(日本円・現金)のことをいい、従業員が外国人であるからといって外国通貨で支払うことはできません。

従業員の同意があることを前提に、従業員の指定した預貯金口座への振込又は証券総合口座への払い込みにより支払うことができます。従業員が口座を指定すれば、振込または払込による支払の同意があったものとなります。

3.給与は直接従業員に支払う

給与は直接従業員に支払わなければなりません。例えば、従業員が借金をしているとしましょう。借金の取立て屋が会社に来て「従業員の代わりに給与を受け取りに来た」と言っても取立て屋に給与を渡してはなりません。もし、給与を取立て屋に渡してしまって、その後、従業員から給与の支払を求められても拒むことはできません。

しかし、例外もあり、従業員自身が病気のため給与を受け取れない時などに、その配偶者や子に支払うことができますし、派遣の場合に、派遣先が派遣元から給与を預かって派遣労働者に渡すことができます。

4.給与を全額支払う

給与は控除せずその全額を支払わなければなりません。ただし、過払い分の給与を清算控除したり、源泉所得税や社会保険料といった法令で控除が認められているもの、その他、労使で協定を結んだものについても控除することができます。また、欠勤や遅刻、早退した時間に対する給与も控除することができます

5.給与は毎月一回以上支払う

給与は毎月一回以上支払わなければなりません年俸制であっても12分割し、毎月支払わなければなりません。しかし、全ての給与が毎月一回支払われる必要はなく、賞与や臨時的に支払われるもの、1ヶ月を超える算定期間の精勤手当等は毎月一回支払う必要はありません。

また、例えば、給与が月末締めの翌月10日払いの場合、各月1日入社の従業員は入社月の給与支払がないことになりますが、これは制度上仕方ないことなので、わざわざ入社月に給与を支払うように考える必要はありません。つまり、このような場合、入社月に給与の支払はなくても構わないということです。

6.給与は一定期日に支払う

給与は期日を定めて支払わなければなりません。毎月20日、毎月末日といった決め方をする必要があります。毎月第3月曜日、毎月20日から25日の間といった決め方は期日が定まっていないため認められません。つまり、支給日が特定されなければならないということです。

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