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労務トラブルと労務管理

第174_2号 2008年11月

1.はじめに

「突然、従業員から残業代の支払いを請求された」「退職後に解雇されたと言ってきた」など、従業員を雇用すると、必ずと言ってよいほど労働条件に関するトラブルが起こります。

しかし、適切な労務管理対策を講じることにより、これらのトラブルを未然に防ぐことができるのです。

2.残業代の支払いを請求される

従業員が時間外労働や休日労働をしたり、深夜労働をした場合には残業代(割増賃金)を支払わなければなりません。

残業代を支払っていないと、従業員が退職するときや退職した後に、在職中の残業代をまとめて請求されることがあります。

残業代の支払い方法を就業規則に定めることで、残業代をまとめて請求されるといったことがなくなります。

なお年俸制の場合でも残業代の支払いが必要なので注意が必要です。

3.残業代の支払い方

「基本給に残業代を含む」として残業代を支払わないケースがあります。この場合には、給与明細等で基本給にどれくらいの残業代が含まれているかを明らかにしなければなりません。

残業代の額が明確になっていない場合には、「基本給に残業代を含む」としていても、基本給の他に残業代を支払わなければなりません。

4.「辞めてしまえ!」は解雇になる

従業員を解雇するときには、30日前までに解雇を通知するか、通知しない場合には解雇予告手当(1ヶ月分の給与額に相当する額)を支払わなければなりません。

従業員に、「辞めてしまえ!」「明日からこなくてもいい!」と言ってしまい、従業員が出社しなくなったとしたら、これは解雇になってしまいます。こうなると、会社は、従業員に解雇予告手当を支払わなければならないのです。

従業員が勝手に出社しなくなったのだから「退職だ」と主張しても多くは認められません。

あまりにも勤務態度や勤務成績の悪い従業員がいるからといって、安易に「辞めてしまえ!!」というのは禁物です。このような場合には、就業規則に則って対処しなければなりません。

就業規則には、解雇事由や処分方法などを具体的に明記しておくことが重要です。

5.退職金や賞与の支払いを請求される

退職金や賞与を支払うかどうかは自由に決められます。退職金や賞与を支払うかどうかは、就業規則で明らかにしておかなければなりません。

退職金や賞与を支払うつもりがないのに、就業規則に「支払う」と記載がある場合には、早急に就業規則を変更しなければなりません。

就業規則に「支払う」と記載がある場合には、退職金や賞与を請求されたら必ず支払わなければならないからです。

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