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整理解雇の有効性判断

第175_2号 2008年12月

1.はじめに

勤務態度が悪かったり、仕事の能力が低かったりするような、従業員に原因のある普通解雇(または懲戒解雇)とは異なり、経営上の理由による解雇は整理解雇と呼ばれます。

整理解雇を有効に行うには特別な要件が必要となります。

いくら経営上の理由があったとしても、会社はいつでも一方的に従業員を整理解雇できるわけではないのです。

2.整理解雇とは?

整理解雇とは、経営上の理由によって、従業員を解雇することをいいます。

例えば、売上が減少したから従業員を解雇するのは整理解雇になります。また、経営不振ではないけれども、今後の事業展開を見据えて、人員を削減することも整理解雇になります。

3.整理解雇をするときの要件

整理解雇をするときには、4つの要件に気をつけなければなりません。4つの要件とは、①整理解雇の必要性、整理解雇の回避努力(解雇回避努力)、③整理解雇対象者選択の合理性(人選の合理性)、④4整理解雇手順の合理性(整理解雇手続の妥当性)です。整理解雇の有効性は、この4つの要件をいかに満たすかにかかってきます。

4.要件①(整理解雇の必要性)

整理解雇の要件の1つ目は、「整理解雇の必要性」です。会社が従業員を解雇する必要があるかどうかが問われます。

例えば、売上の減少に伴う部署の閉鎖や支店、営業所の閉鎖によって、従業員を解雇せざるを得ない場合には、整理解雇の必要性が認められます。

5.要件②(解雇回避努力)

2つ目の要件は、「解雇回避努力」をしたかどうかです。解雇回避努力とは、報酬のカット、賞与や昇給の停止、採用の抑制、配置転換、一時帰休などです。会社はこれらのことをして、なるべく従業員を解雇しないように努力しなければなりません。

6.要件③(人選の合理性)

3つ目の要件は、「人選の合理性」です。整理解雇の対象者は、明確な基準で選ばなければなりません。女性や高齢従業員、労働組合員であることだけを理由に、これらの従業員を優先的に整理解雇の対象にすることは許されません。

7.要件④(整理解雇手続の妥当性)

4つ目の要件は、「整理解雇手続の妥当性」です。整理解雇をするときには、従業員に整理解雇の必要性や整理解雇の方法などを説明して、解雇を納得してもうための話し合いをしなければなりません。話し合いをせずに、突然解雇してはなりません。

8.整理解雇も解雇

整理解雇も「解雇」なので、整理解雇をするときには、30日前までに整理解雇を予告(解雇予告)するか、即日実行するのであれば30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。

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