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年末までにできる税金対策

第257_1号 2015年10月

1.はじめに

今年も残すところ2か月余りとなりました。この2か月余りでできる税金との関わりについて説明します。

2.贈与

贈与税は基本的にその年の1月から12月までに行われた贈与に対してかかってきます。贈与税には年間110万円の基礎控除がありますので、110万円までの贈与には税金がかかりません(暦年贈与の場合)。ですから今年の12月31日にモチ代として110万円を子供に贈与し、翌日1月1日にお年玉として110万円を子供に贈与しても、子供に贈与税はかかりません。

今年から親や祖父母から子や孫への金銭での贈与にかかる税率が引き下げられました。510万円を親から子に贈与しても贈与税は50万円(改正前は55万円)で460万円が手取りとなります。

3.ふるさと納税

ふるさと納税とは、全国の市区町村に寄付をすることによって、結果として納税者が払う所得税と住民税がほぼその分減額される制度です。つまり、納税者が選択した市区町村に、寄付を通じて納税するような仕組みになっています。

正確には寄付金額から2千円を控除した額だけ所得税と住民税が減額されます。そして多くの市区町村が寄付金額に応じたプレゼントを用意しています。

長崎県島原市では、5万円以上の寄付で和牛ロースステーキ250gを2枚、500gのしゃぶしゃぶ肉と500gの焼き肉をプレゼントしてくれます。

つまり、島原市に5万円を寄付すれば、自己負担2千円で1,500gの長崎和牛肉が手に入るということです。ただし、寄付金額には納税者ごとに所得に応じた限度額があり、給与収入700万円の独身者で12万円くらいが限度額となります。年内に限度額以内の寄付をすれば、2千円で全国のお楽しみプレゼントがもらえるのです。

4.自社株式と上場株式の譲渡

中小企業の創業者が有する自社株式の価値は、業績の積み重ねとともに上昇するものです。設立時に1株千円で出資した株式が20年後に1株10万円の価値があるケースもあります。

この自社株は、創業者に相続があった場合には、当然に相続財産となり、相続税の対象となります。そこで、自社株を元気な内に子供等に譲渡することが考えられます。しかし、自社株を譲渡すると譲渡益に約20%の税率で税金がかかってきます。

この場合、含み損のある上場株式を年内に売却して譲渡損を出せば、自社株の譲渡益と損益通算をすることができます。この損益通算は今年度のみ有効です。来年からは損益通算をすることができなくなります。

5.小規模企業共済

法人の役員や個人事業主が、加入条件を満たせば入ることができる退職金制度です。掛金を全額所得控除できますので、個人の税金が安くなります。掛金は月額7万円が上限ですが、年払いもできますので、年内に加入すれば節税になります。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士・行政書士 井上 修
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