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コロナ税制上の支援策

第311号 2020年04月

1.はじめに

新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済対策の一環として税制上も支援策が手当されます。

2.納税猶予制度の特例

納税猶予とは、税金を期限までに支払うことを猶予して、一定期間先延ばしにすることです。

特例では、今年の2月から納期限までの任意の1か月以上の期間で、収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少していれば、1年間、国税及び地方税の納付を延滞金なしに猶予することができます。

3.申告期限(納付期限)の個別延長

「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と申告書に記載すれば、当初の申告期限を過ぎて実際に申告書を提出した日が申告期限及び納付期限となりました。源泉所得税も納付書に「新型コロナウイルスによる納付期限延長申請」と記載すれば納期限が延長されます。ウイルスが沈静化するまで、この取り扱いは続きそうです。

2.の納税猶予制度と併用するとよいでしょう。

4.欠損金の繰戻還付の特例

前期が黒字で今期が赤字の場合、前期で納税した法人税の還付を受けることができます。この制度の適用を資本金10億円以下の法人にまで拡大します。

5.テレワーク等の設備投資税制

設備投資額を全額損金に算入するか、投資額の7%又は10%(資本金3千万円以下)の税額控除ができる予定です。ただし、事前に計画の認定が必要になります。

6.中止イベントチケット代の寄付金控除

政府の自粛要請により中止したイベント入場料の払い戻しを放棄した場合、主催者から交付された証明書により確定申告で寄付金控除をすることができます。

7.住宅ローン控除適用の弾力化

住宅ローン控除を適用する要件として入居する期限がありますが、コロナウイルスの影響で入居が遅れる場合には、弾力的な対応となります。

今年の9月末までに契約した新築住宅の場合は、来年の12月末までに入居すれば13年間のローン控除を適用できます。

8.消費税の課税選択変更の特例

コロナウイルスの影響で売上が激減し、仕入や経費などで支払った消費税が売上で預かった消費税より多くなった場合、その多くなった分の消費税が還付されるのが原則です。ただし消費税の申告義務のない免税事業者は、還付申告することができません。

そこで、1か月以上の期間で前年同期比概ね50%以上収入が減少した免税事業者が、消費税の申告期限までに申請書を提出することにより課税事業者となって、消費税の還付申告をすることができるようになります。今月に申告期限が到来する2月決算法人についてもこの特例が受けられる可能性があります。

また、簡易課税を選択している事業者も還付申告をすることができませんが、特例により簡易課税をやめて還付申告をすることができます。

以上の特例はまだ法案の段階のものもありますが、ほぼ成立するかと思います。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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