週刊節税教室

赤字法人に対する寄付

法人税、所得税
第131号 2004/4/26

☆質問

『私は小さな会社を2社経営しています』

『1社は業績も順調なのですが、もう1社は業績が悪く、ここ数年は赤字続き

です』

『この赤字会社に私個人か、業績が順調な法人が寄付をした場合の税金

の扱いはどのようになるのですか?』

★回答

まず、個人で赤字会社に寄付をした場合を考えてみましょう。

個人の所得税には前回も説明したとおり、寄付金控除という制度がありま

す。

しかし、この寄付金控除を適用できるのは税法で定められた特定寄付金

に限定されています。

特定寄付金とは、国、地方公共団体に対する寄付金、財務大臣が指定し

た指定寄付金、特定公益増進法人に対する寄付金、特定公益信託の信

託財産とするための支出、政治活動に関する寄付金に限定されています。

あなたの会社は普通の同族会社ですから、当然この特定寄付金に該当

しませんので、あなたが寄付をしても寄付金控除を適用できないわけです。

☆質問

『では、私の黒字の法人が赤字の法人に寄付をした場合はどうですか?』

★回答

法人税法における寄付金の範囲は広く、個人の所得税のように限定して

いません。

法人税法では、「事業と関連なく、反対給付をともなわない無償で行われ

る財産の給付」が寄付金とされています。

そして、法人がした寄付金は一定の金額までその法人の損金として扱わ

れます。

☆質問

『ということは、私の黒字の会社が私の赤字の会社にした寄付は、法人

税法上も寄付金として扱われ、一定の金額が黒字の会社の損金として

計上され、少しは税金が安くなるのですね?』

★回答

そうです。

☆質問

『どのくらい安くなるのですか?』

★回答

その法人の資本金等の金額と所得金額とにより損金に算入される限度

額が計算できます。

黒字の会社の所得金額と資本金等の金額は各々いくらですか?

☆質問

『資本金が3千万円で所得がおよそ2千万円です』

★回答

そうすると、寄付金を損金に算入できる限度額は次のように計算されます。

資本金3千万円×0.25%=75,000円

所得2千万円×2.5%=500,000円

限度額は上記金額の合計の2分の1となります。

(75,000円+500,000円)÷2=287,500円

つまり、287,500円の寄付金を黒字会社が赤字の会社にした場合には、そ

の全額が黒字の会社の損金とすることができるのです。

☆質問

『寄付された赤字の会社の税金はどうなるのですか?』

★回答

寄付された赤字の会社はその寄付金の額だけ「受贈益」という益金が計上

されます。

☆質問

『ということは、赤字の会社で発生した受贈益に税金がかかってしまうので

はないのですか?』

★回答

黒字の会社では、確かに寄付された金額だけ受贈益として税金の対象に

なってしまいます。

しかし、寄付をされた会社が赤字の場合には、受贈益の金額だけ赤字が

減るだけで、追加の税金は発生しません。

☆質問

『なるほど。だから黒字の会社が赤字の会社に寄付をすれば節税になる

のですね?』

★回答

そのとおりです。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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