週刊節税教室

社葬で節税する

法人税・相続税
第145号 2004/8/2

☆質問

『私は父が経営している会社の役員をしていますが、父が病気でそろ

そろ死にそうです』

『会社は業績好調で利益が出ていますので、葬儀を社葬ということで

考えていますが、そんなことできますか?』

★回答

もちろんできます。

社長という地位、会社に対する功績等を総合勘案して、相当と認めら

れるものであり、かつ、会社が負担する費用が社葬のために通常必

要とされる金額の範囲内のものであれば、会社の経費とすることが

できます。

遺族は葬儀費用の負担から開放され、社葬をする同族会社では社

葬の費用が会社の経費となるため節税になり、一石二鳥という感じ

です。

☆質問

『具体的にどのようなものが社葬として会社の経費となるのですか?

また、経費とならないものもあるのですか?』

★回答

式場運営費、供物、霊柩車や棺、寺院等に対する読経料、案内状、

会葬礼状、お通夜の費用などが会社の経費となります。

経費とならないものとしては、法事の飲食代、墓地の永代使用料、墓

石代、戒名料、位牌の購入費などの遺族が個人的に負担すべき費用

は含まれません。

☆質問

『社葬の場合、香典は会社の収入にしなければならないのですか?』

★回答

香典は会社が受け取っても、遺族が受け取っても、いずれでも良い扱

いとなっています。

会社が受け取れば会社の収入になり税金の対象になります。

一方、遺族が受け取ると香典は所得税がかかりませんので、税金の

対象にはなりません。

☆質問

『では、遺族がもらった方が節税になりますね?』

★回答

そのとおりです。

しかしこの場合、香典返しの返礼品は遺族が負担しなければなりませ

ん。

☆質問

『社葬にした場合と、遺族が個人で葬儀をした場合とでは、相続税の

扱いは違いますか?』

★回答

違います。

個人で葬儀をした場合は、その葬儀費用は相続税の計算上、相続財

産から控除することができます。

しかし、社葬の場合は相続財産から控除できません。

ですから、社葬にして会社の税金を安くするか、個人で葬儀をして相

続税を安くするかを検討する必要はあるでしょう。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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