週刊節税教室

開業費は便利な存在

法人税・所得税
第150号 2004/9/13

☆質問

『個人事業を開業しようかと思っています』

『開業準備期間中の経費の扱いは税金上どのようになるのですか?』

★回答

開業前に使った経費だからといって、開業後の経費にならないとい

うことはありません。

開業準備期間中の経費は開業費という勘定科目で処理します。

開業費勘定は経費科目ではなくて、繰延資産という資産科目です。

開業費は開業後5年間で経費として計上するのが原則ですが、例

外として確定申告書への記載を要件として開業費の額を上限とし

て、いつでもいくらでも経費とすることができる例外規定があります。

☆質問

『たとえば開業費の額が50万円としたら、開業した年に30万円経費

として、残りの20万円をその数年後に経費としてもよいわけですか

?』

★回答

そのとおりです。

任意償却といって、開業費をいつ経費とするかは納税者の任意とさ

れるのです。

利益の出たときに開業費を経費とすれば節税になります。

☆質問

『開業費として計上できる開業準備期間中の経費としてはどのよう

なものが対象となるのですか?』

★回答

個人事業の場合にはかなり広く認められています。

・広告宣伝費

・接待交際費

・旅費

・調査費

・借入金の利子

・従業員の給料

・賃借の土地、建物の賃借料

・電気、ガス、水道の料金 等

開業準備のために特になされた上記の経費が開業費になります。

国際的な個人事業開業のために、その下準備として行った開業前

の海外渡航費用も、個人事業開業のために必要なものであれば開

業費に含まれることになります。

☆質問

『個人事業では開業費の範囲が広く認められているということです

が、法人の扱いとはどう違うのですか?』

★回答

法人税法では、以下のような経常的な性格を有する費用は開業費

に含めないとしています。

・従業員の給与

・電気、ガス、水道の料金 

・賃借の土地、建物の賃借料

・借入金の利子 等

そういう意味で、個人事業の方が開業費の範囲が広いということで

す。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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