週刊節税教室

雑損控除と所得税の減免

所得税
第168号 2005/1/31

☆質問

『新潟地震で被災しました』

『税金が安くなる救済制度はないのですか?』

★回答

あります。

雑損控除という制度があります。

災害で生じた損失額や後片付け等の支出があった場合に、一定額

を所得控除(社会保険料控除などと一緒です)する制度です。

火災保険金などをもらっている場合には、損失からその額を控除した

金額が雑損控除の計算対象になります。

☆質問

『義援金や住宅再建支援金も火災保険金と同じように損失から控除

するのですか?』

★回答

雑損控除の計算では火災保険金と同じ扱いで、損失の金額から控

除しなくてはなりません。

ちなみに義援金や住宅再建支援金をもらっても所得税は非課税とな

ります。

☆質問

『火災保険金が損失のあった翌年に入金されるのですが、この扱い

はどうなりますか?』

★回答

保険金の見積額を損失の額から控除することになります。

☆質問

『倒壊した家屋などの撤去費用が損失のあった翌年に支払われたの

ですが、前年の損失額と一緒に雑損控除を受けられないのですか?』

★回答

その撤去費用が翌年の3月15日までに支出したものであれば、前年

の損失額と一緒に雑損控除を受けられます。

☆質問

『なるほど』

★回答

雑損控除とは違う制度で、災害減免法による所得税の減免税額の控

除という制度があります。

☆質問

『所得税の減免ですか・・・』

★回答

合計所得が1千万円以下の納税者で、災害により住宅又は家財に時

価の50%以上の損害(保険金等があれば控除)を受けた場合に、合

計所得金額によって所得税を免除したり、軽減したりする制度です。

雑損控除が所得控除であるのに対して、減免税額の控除は所得税を

直接減らす税額控除です。

合計所得金額が500万円以下の納税者は所得税が全額免除、500万

円超750万円以下は50%軽減、750万円超1千万円以下は25%軽減

となります。

☆質問

『雑損控除と併用できるのですか?』

★回答

いずれかの制度しか適用できません。

☆質問

『どちらの制度の方が得なのですか?』

★回答

一概には言えません。

損失の額と納税者の所得によります。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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