週刊節税教室

特殊支配同族会社の役員報酬(1)

法人税
第225号 2006/4/3

☆質問

「役員報酬に関する改正について、212号で説明してありましたが、その後

具体的なことが分かってきたのですか?」

★回答

「いえ、まだ細かいところは明らかにされていませんが、中小企業にかなり

影響のある改正ですので、今現在で知り得る扱いについて説明します」

☆質問

「一定の条件に当てはまる同族会社の主宰役員にかかる役員報酬につい

て、それに含まれる給与所得控除額を法人の所得に加算するという改正

でしたよね?」

★回答

「そうですね」

「この規定に該当する同族会社を、特殊支配同族会社と言います」

☆質問

「どのような会社が特殊支配同族会社になるのですか?」

★回答

「次の2つの要件を満たした同族会社です」

(1)業務主宰役員とその特殊関係者が、株式(出資)の90%以上を保有

(2)業務主宰役員とその特殊関係者が、常務に従事する役員の過半数を

  占めている会社

☆質問

「なるほど、持株(出資)要件と役員要件があるわけですね?」

★回答

「そうです」

「このいずれかの要件をはずせば、この規定の適用はありません」

☆質問

「その2つの要件は、いつ時点のものなのですか?」

★回答

「事業年度の終了時です」

「この規定は、4月1日以降開始する事業年度から適用されますので、3

月決算ですと、来年の3月31日の現況で上記2つの要件が判断されます」

☆質問

「まだ、時間はありますね」

「信頼の置ける従業員に株を持ってもらったり、役員になってもらうことに

より、適用要件からはずれるようにすればよいのですね?」

★回答

「そうですね」

☆質問

「業務を主宰する役員の役員報酬にかかる給与所得控除額を法人の所

得に加算するわけですが、これは主宰役員1人だけについてですか?」

★回答

「そのようです」

「2月21日の衆議院予算委員会での答弁で、そう言い切っています」

☆質問

「ということは、主宰役員以外の役員、例えば一緒に働いている主宰役

員の配偶者に支払っている役員報酬は、全額会社の経費になるという

ことですね?」

★回答

「そのとおりです」

☆質問

「それだったら、主宰役員の役員報酬を少なくして、配偶者の役員報酬を

多くすればいいじゃないですか?」

★回答

「ん~ そういうことも言えますが、配偶者がそれ相応の仕事をしてないと

ダメですけれどね・・・」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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