週刊節税教室

役員報酬の改正情報

法人税
第233号 2006/6/5

☆質問

「役員報酬は毎月定められた日に同額を支給しなければ損金算入を認めな

いということですが、期首から2ヵ月後の株主総会で、期首に遡って役員報

酬を増額改訂する決議をして、期首から3ヶ月目に1ヶ月目と2ヶ月目の増

額した差額を一括支給した場合に、それも損金として認められないのですか

?」

「つまり3月決算で、5月の株主総会において、4月から今まで50万円だっ

た役員報酬を、月額70万円にする決議をしたとします」

「そして、6月に6月分の役員報酬70万円と4月5月の増額差額20万円×

2ヶ月=40万円を合計した110万円を支給するケースです」

「このケースは、今までは全額損金として認められていたと思うのですが、

いかがですか?」

★回答

「今年の3月決算の会社からこのケースでは、6月に支給した金額は全額損

金になるという扱いは受けられないようです」

☆質問

「それはどうしてですか?」

★回答

「株主総会で役員報酬の遡及増額改訂を決議した場合の一括支給を、損金

として認めるとした規定は今現在も法人税基本通達9-2-9の2で定められて

います」

「しかしこの規定自体、平成18年4月1日から開始する事業年度から適用す

ることができない扱いとなるようです」

☆質問

「そうすると、先ほどのケースではどのようになるのですか?」

★回答

「定期同額でない6月に支給した増額差額40万円が損金算入されません」

☆質問

「そうなんですか」

「何かよい方法はありませんか?」

★回答

「事前確定届出給与として届出ていれば損金算入が認められます」

☆質問

「具体的にどのようにすれば良いのですか?」

★回答

「株主総会で増額決議したら、税務署に6月に定期同額給与以外の役員

報酬を支払う旨の届出をすればよいのです」

☆質問

「なるほど、よくわかりました」

なお、アトラス総合事務所のホームページで、役員報酬の改正について

解説していますので、ご覧になってください。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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