週刊節税教室

三菱東京UFJ 10年ぶりの納税

法人税
第399号 2011/6/2

☆質問

「新聞に三菱東京UFJフィナンシャルグループが、10年ぶりの法人税納税とありましたが、10年間も法人税を払わないなんてありえるのですか?」

★回答

「ありえます」

「欠損金の繰越控除という制度によるものです」

☆質問

「欠損金の繰越控除ってどのような制度ですか?」

★回答

「法人で欠損金が生じた場合、その翌年度以降にその欠損金を繰越して、翌年度以降の利益と相殺できる制度です」

☆質問

「例えば、100の欠損金が出て、翌年度60の利益が出ても、その60は100の欠損金と相殺されて、納税が不要ということですね?」

★回答

「そのとおりです」

「60の利益と相殺された残り40の欠損金は、更に翌々年度に繰越されます」

☆質問

「翌々年度に50の利益が出たとすると、繰越された欠損金40は利益とすべて相殺され、その年度では残りの利益10に対して納税が生じるということですね?」

★回答

「そのとおりです」

☆質問

「欠損金の繰越は、何年間できるのですか?」

★回答

「7年間繰越すことができます」

☆質問

「欠損金を7年間繰越しても、その間にそれ以上の利益が出ず、相殺し切れなかった欠損金はどうなるのですか?」

★回答

「切捨てになります」

「つまり、7年以上は繰越すことができないで、欠損金は切り捨てになるということです」

☆質問

「三菱東京UFJは、10年間納税がなかったということですが、どのようなことが考えられるのですか?」

★回答

「バブルが崩壊して20年ですが、バブル崩壊で多額の不良債権を抱え、やっと10年目くらいで欠損金がやっと消えて納税したけれども、不良債権はその後も雨後のたけのこのように出て、それらは欠損金として繰越されてきて、やっと今年の3月期決算で利益が繰越欠損金を上回ったというところでしょう」

☆質問

「なるほど、よく分かりました」

「しかし、日本を代表するメガバンクが10年も納税していないとは・・・・」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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