週刊なるほど!消費税

納付と申告(5)
中間申告

第187号 2006/08/28

【先生】

 前回から中間申告についてお話しています。

 今回は中間申告義務のある事業者についてみていきましょう。

【生徒】

 全ての事業者が中間申告しないといけないわけじゃないんですね。

【先生】

 そうです。除かれる事業者がいますので、その要件をみていきます。

 まずは個人事業者について。個人事業者は

・課税期間特例を選択しておらず

・直前の課税期間の確定消費税額(年税額)が48万円(国税部分)超

であれば中間申告をしなければなりません。

 ですので、逆に言えば

1.課税期間特例選択事業者

2.前年の確定消費税額が48万円以下の事業者

 は中間申告の必要はありません。

 当然、今年に新規開業した個人事業者は前年は消費税を納めてない

ですし、今年から新たに課税事業者になった個人事業者も前年の納税

はありませんので、中間申告の必要は無いことになります。

【生徒】

 48万円の国税部分ってどういう意味ですか?

【先生】

 消費税は4%が国税で、国税×25%つまり1%が地方税というのは

何度も説明していますね。

【生徒】

 最初に国税を計算して、それに25%をかけたのが地方税でした。

【先生】

 その最初に計算する国税が48万円を超えていたら、ということです。

ですからこれに地方税を加えると、

 48万円×25%=12万円

 となりますので、全体では48万円+12万円=60万円となり、消費税

全体では60万円を超えていたら中間申告の必要ありということになります。

【生徒】

 60万円か・・・微妙に中途半端だな・・・

【先生】

 そうでもありませんよ。年税額で60万円ということは1月に直すと5万円

ということです。つまり1月当たり5万円の納税が出るようなら中間申告

してくださいという意味ですね。

【生徒】

 なるほど。

【先生】

 少し数値例を出してみましょう。

 個人事業者の前年の消費税確定申告は次のとおりだったとします。

 課税標準額      20,000,000円

 消費税額         800,000円

 控除対象仕入税額   300,000円

 差引税額         500,000円

 中間納付税額      260,000円

 納付税額         240,000円

 納税額(地方)      125,000円

 中間納付譲渡割額    65,000円

 納付譲渡割額       60,000円

 納付税額計        300,000円

 一部申告書の様式に合わせた記述にしています。

 要約すると、

 国税部分の確定税額は500,000円、納付額は240,000円

 地方税部分の確定税額は125,000円、納付額は60,000円

 納付額合計は300,000円です。

 この場合、今年は中間申告は必要でしょうか?

【生徒】

 国税の確定年税額は50万円ですよね?そしたら必要なんじゃ

ないかな。

【先生】

 そうです。まず上記を見ると前年も中間申告しているということ

がわかります。これはあくまで前年の中間申告です。

 今年の中間申告は確定年税額で判断します。確定年税額は

納付税額ではありません。

 納付税額は確定年税額からその期の税金の前払である中間

納付額を差し引いた金額です。

 納付税額は国税で48万円以下の24万円ですが、確定年税額

は50万円で48万円超ですので、今期の中間申告は必要という

ことになります。

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