週刊なるほど!消費税

納付と申告(7)
中間申告

第189号 2006/09/11

【先生】

 引き続き中間申告のお話です。今回は中間申告の方法について見て

いきます。

【生徒】

 方法って何種類もあるんですか?

【先生】

 基本的に2種類あります。この2種類は選択制で、どちらを選んでも

よいことになっています。

 まずは前年実績による中間申告。中間申告により納める消費税は、

あくまで当年度分の前払いですので、本来当年度の実績に基づき税額

を算出すべきなのですが、特に中小の事業者には事務的な負担が多く

なってしまいます。

 そのため前年実績に基づいて算出したものを当年度の中間申告として

申告・納税する方法がこの前年実績による中間申告です。

 大部分の事業者はこちらの方法により中間申告していると思います。

【生徒】

 前年の実績を当年度分とみなしちゃうわけですね。そうすると本当の

当年度の実績とずれませんか?

【先生】

 もちろんずれる場合がほとんどですが、そこは問題とはしません。

 また次の方法を選択しなければ、自動的にこの前年実績に基づく中間

申告をするものとみなされます。

 2つ目の方法ですが、仮決算に基づく中間申告です。

 これは文字通り中間申告期間を1つの課税期間とみなして仮決算を行い、

その実績に基づく税額を計算して申告・納税する方法です。

【生徒】

 そうすると、年1回の場合は1回、年3回の場合は3回、年11回の場合

は11回仮決算しないといけないんですか?

【先生】

 いえ、中間申告期間の都度、前年実績か仮決算かを選べます。ですから

1度仮決算を選択したからといって、次の中間申告期間でも必ず仮決算を

しなければいけないということはありません。

【生徒】

 11回のうち5回を仮決算、6回を前年実績ってことでもいいんですね。

【先生】

 そうです。どちらを選んでもかまいません。

 それでは具体的な計算方法を見ていきましょう。

 まず前年実績方式です。最初に年11回つまり直前の課税期間の確定

年税額が4,800万円超の事業者について。

 原則は 直前課税期間の消費税額÷直前課税期間の月数 です。

通常直前課税期間は1年:12ヶ月ですので、消費税額を1/12にして1ヶ月

分を計算するということですね。

【生徒】

 あれ、ちょっと待ってください。法人は課税期間終了から2ヵ月後に確定

申告だからまだいいとして、個人事業者の確定申告期限は3月末日です

よね。そうすると1月の申告期限と同じになりませんか?

【先生】

 そうです。同じになってしまいます。また法人の課税期間開始月や個人

事業者の2月分は、前期の税額の確定(申告期限)から中間申告期限

まで1ヶ月しかありません。

 そこで、個人事業者の1月、2月分については課税期間開始の日から

3ヶ月を経過した日から2ヶ月以内、法人の最初の1月分は課税期間開始

の日から2ヶ月を経過した日から2ヶ月以内がそれぞれ申告期限となって

います。

【生徒】

 ちゃんと考慮してくれているんですね。

【先生】

 また前期の確定税額ですが、申告後に誤りが見つかり修正申告や更正

の請求をして前期の税額が変わるという場合もあります。

 この場合、それぞれの中間申告期間末日に確定している税額を基に

計算すればよいことになっていますので、1度中間申告をした後に修正が

あったとしても、その修正後の中間申告で考慮すればよく、すでに申告済

の分を変える必要はありません。

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