週刊なるほど!消費税

納付と申告(11)
還付申告

第193号 2006/10/09

【先生】

 中間申告については前回で終わりです。

 今回は今まで何度かお話しているところですが、還付申告について

もう一度まとめてみましょう。

【生徒】

 お金が戻ってくる申告ですね。

【先生】

 そうです。

 還付申告ですが、国内における課税資産の譲渡等がない、つまり課税

売上が0円かあるいは国外売上などの不課税取引しかない場合、又は

課税資産の譲渡等が全て免税取引となる場合で、かつ納付すべき消費

税額がない場合は、本来は確定申告義務が免除されるので確定申告書

を提出する必要がありません。

 ですがそのような場合でも還付金が発生する場合には還付申告書を

提出して、消費税の還付を受けることができます。

【生徒】

 中間申告で還付はできないんですよね

【先生】

 前々回にお話しましたね。中間申告はあくまで前払のための申告です

ので、還付申告は必ず確定時の申告となります。

 この還付申告ですが、2種類の還付が考えられます。

 まず中間納付額の還付。

 これは文字通り前払いしていた中間納付額が多かったため、還付申告

により戻る場合です。

 但し、納税額が出たうえで、中間納付額を差し引くことで還付が発生する

場合は、還付ではありますが、申告義務が無い人が行う還付申告では

ありません。

 もともと納税額があるということは、課税売上が発生しているということ

ですから、申告する義務は必ずあることになります。

【生徒】

 なるほど。

【先生】

 次に課税売上がないか免税売上のみで、課税仕入があるという場合です。

 ここで注意が必要なのが、課税売上が無いなどで課税売上割合が0となる

ときです。

 課税売上割合の取り扱いは覚えていますか?

【生徒】

 課税売上割合が95%以上なら、支払った消費税の全額が控除できるって

ことでしたよね。

【先生】

 そうです。ここで計算方法を思い出してください。

 課税売上割合を使う計算は2種類ありました。原則的な方法と一括比例

配分方式です。

 原則的な方法では、課税資産の譲渡等にのみ対応する課税仕入について

は全額、課税資産の譲渡等とその他の譲渡等に共通する課税仕入について

は課税売上割合を乗じた金額が控除できました。

 一括比例配分方式では、課税仕入全額に課税売上割合を乗じた金額が

控除できました。

【生徒】

 どちらか有利な方を選択できましたよね?

【先生】

 そうです。ここで課税売上割合が0ということはどういうことでしょうか?

 原則的な計算方法では課税資産の譲渡等にのみ対応する課税仕入は全額

控除でき、共通部分は0を乗じるので0円です。

 一方一括比例配分方式は必ず0円となります。

 そのため、ここでは原則的な計算方法しか選択する余地はないということです。

【生徒】

 でも、課税売上が無いのに、課税資産の譲渡等にのみ対応する課税仕入

ってあるんですか?

【先生】

 あります。それについては次回お話しましょう。

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