週刊なるほど!消費税

総額表示(2)

第202号 2006/12/11

【先生】

 前回から総額表示についてお話しています。

 今回はどのような価格表示が総額表示の対象となるかを見ていき

ましょう。

【生徒】

 一言に価格表示って言ってもいろいろありますもんね。

【先生】

 まず原則として「不特定多数かつ多数の者(一般消費者)に対して

予め価格を表示するもの」が対象となります。

 そのため、まず特定の者に対するものや、取引成立後に作成する

ものは含まれません。

【生徒】 

 例えばどんなものがあるんですか?

【先生】

 まずは見積書や契約書。これらは特定の者に対してだけのもの

ですので、総額表示の対象とはなりません。

 また請求書や領収書も、事後的に作成するものであり、かつ特定

の者にのみ作成するものですから、総額表示の対象からははずれ

ます。

【生徒】

 でもそういう書類って、もらってみるとだいたい総額で表示されて

ませんか?

【先生】

 総額表示は義務ですが、その対象とならない価格表示に総額表示

を禁止するものでは一切ありません。

 任意で表示する分には全く問題ないのです。取引や決済のことを

考えれば、かえって消費税込の数字を出してあげる方が何かと都合

がよいということも多いのではないでしょうか。

【生徒】

 確かに。特に見積書とか、後からもめたりしそうですもんね。

 「金額が違うゾ!」とか。

【先生】

 総額表示の対象となるものの具体例を出してみると、

・値札など店内表示のもの

・チラシ、パンフレット、カタログなど(DM、FAX含む)

・ポスター、看板、ネオンサイン

・新聞や雑誌等の広告、テレビやラジオ等の宣伝

・ホームページ等によるもの

 これらに当らないものでも、広く一般消費者が対象であれば、総額

表示の義務があります。

【生徒】

 死ぬまで一度は頼んでみたい寿司屋の「時価」は、具体的に金額

出てないですけどどうなるんですか?

【先生】

 「時価」という表示は価格を表示していませんので、総額表示の

対象からは除かれます。

 また、例えば会員限定で商品の販売やサービスの提供を行って

いる施設なのでも、会員自体が広く一般に募集されているのであれ

ば、やはり総額表示の対象となります。

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