週刊なるほど!消費税

事例(不動産賃貸:6)

第228号 2007/07/2

【先生】

引き続き個人で不動産賃貸をされている場合のお話です。

 前回は、ワンルームマンションの賃貸事業を行うサラリーマンの納税義務が

ある場合の、消費税の計算の内容のうち簡易課税制度についてお話をしました。

【生徒】

簡易課税制度を選択した場合の課税仕入れにかかる消費税が、

原則課税方式で計算した場合の課税仕入れにかかる消費税よりも大きく

なる場合は、簡易課税制度を選択したほうが有利ということでしたよね。

ただ、今回のサラリーマンのケースだとすでに平成19年度に

入っているので、特別な条件がない限り、今時点で『簡易課税制度選択

届出書』を提出しても平成19年度からの適用とはならない、というお話

でしたよね。

【先生】

 そうです。

また、一度簡易課税制度を選択すると、最低2年は簡易課税方式で計算

しなくてはならないので、数年先を見越した判断が必要となるというお話を

しました。

さて今回からは、原則課税方式で計算する場合の、少し特殊な話になります。

消費税の計算の内容のうち、不動産賃貸に使用しているワンルームマンションの

用途に変更があった場合についてのお話です。

このサラリーマンが、賃貸用のワンルームマンションを購入してからずっと

事務所用として賃貸をしていたのを、平成19年1月1日から用途を変更して

居住用として賃貸をすることとした場合について考えてみましょう。

用途変更と聞いて仕入れ税額控除の計算について何か思い当たることは

ありますか?

【生徒】

 事務所用から居住用への変更ということは、課税業務用から非課税業務用

への変更に該当するので、調整対象固定資産を転用した場合の仕入に係る

消費税額の調整の規定の適用が考えられませんか?

【先生】

 確かにその可能性はありますね。

では、調整計算が必要な場合はどんな場合だったか覚えていますか?

【生徒】

 事業者が、調整対象固定資産にかかる消費税につき、購入時において

1. 納税義務があり、課税売上割合が95%未満で、個別対応方式により

課税売上に対応するものとして計算した

2. 納税義務があり、課税売上割合が95%未満で、個別対応方式により

非課税売上に対応するものとして計算した

のどちらかの場合であって、かつ、

その調整対象固定資産の課税仕入等の日から3年以内に転用した

場合でしたよね。

【先生】

 概ねその通りです。調整対象固定資産には、税抜金額が100万円以上である

という金額条件が付くことを忘れないで下さい。

今回のサラリーマンのケースだと、仮に事務所用賃貸の業務の用に供する

調整対象固定資産(備品など)を平成16年1月2日~平成18年12月31日までに

購入していたとしても、平成16年~平成18年の事業収入は事務所の賃貸にかかる

収入のみであり、課税売上割合が95%以上となるため、課税仕入れ等の税額の全額が

控除されています。

この場合は、たとえ課税業務用から非課税業務用への用途変更があっても

要件を満たさないため、調整対象固定資産を転用した場合の税額調整の適用の必要は

ありません。

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