週刊なるほど!消費税

納税義務(法人:7)

第239号 2007/09/24

★【先生】

 前回から引き続いて、基準期間がない法人の納税義務について見ていきます。

 前回出した例題は、以下の通りでした。

 下記の場合の、平成19年度の納税義務についてです。

・平成19年1月に事業を開始した法人である

・1期(平成19年1月1日~平成19年12月31日)の課税売上高:1,200万円

・1期の期首における資本金:1,000万円

☆【生徒】

 “平成19年の納税義務は平成17年の課税売上高で決まる。平成17年は、まだ

事業を開始していないから課税売上高はない、つまりゼロ。ゼロということは、課税

売上高が1,000万円以下なので、納税義務はない。”と判定するのは、結論が違う

という話でしたよね。

★【先生】

 消費税法では、「基準期間がない法人の納税義務」について、「その事業年度の

基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本又は出資の金額

が1,000万円以上である法人については、その新設法人の基準期間がない事業

年度における課税資産の譲渡等については、納税義務は免除されない」と定めてい

る、というところまで話ました。

☆【生徒】

 「その事業年度・・・の基準期間・・・がない法人のうち、その事業年度・・・

始・・・1,000万円・・・」まだ覚えきれない・・・。

★【先生】

 では、今までと同じように、この言葉をひとつひとつバラバラにして考えてみましょ

う。

 まずは「その事業年度の基準期間がない法人」です。法人の「基準期間」は前々

事業年度のことでした。

☆【生徒】

 前々事業年度がない法人・・・つまり新設法人のことですね。

★【先生】

次に「その事業年度開始の日」です。これは期首のことですね。

☆【生徒】

 さっきの例だと平成19年1月1日になります。

★【先生】

 その次は「資本又は出資の金額」です。原則的には資本金のことと考えてください。

☆【生徒】

 さっきの例で言うと、1,000万円ということになりますね。

★【先生】

 その通りです。

 つまり「その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日におけ

る資本又は出資の金額が1,000万円以上である法人」とは、期首における資本金の

金額が1,000万円以上である法人のことです。これに該当する法人については「納

税義務は免除されない」とされている、ということです。

☆【生徒】

 ・・・ということは、さっきの例で言えば、期首(平成19年1月1日)における

資本金は1,000万円だから、期首における資本金が1,000万円以上となるか

ら、納税義務は免除されない!

 ・・・あれ、「1,000万円以上」って、1,000万円を含むのですっけ?

★【先生】

 含みます。よって“納税義務は免除されない”という結論で正解です。

 基本的には、新設法人は納税義務が免除されるのですが、出資額によって納税義務

の免除を受けることができないことがありますので、注意が必要です。

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