週刊なるほど!消費税

納税義務(法人成り:12)

第251号 2007/12/17

★【先生】

 引き続き、法人成りした場合であっても、あえて消費税が免税とならないことによっ

て得をする場合があるという話をしています。もう5週目です。

☆【生徒】

 消費税の「還付」を受けるにあたって、重要なことが3点ほどある。第1点目は、

どのような場合に、預った消費税よりも支払った消費税の方が多くなるのか。続いて

第2点目の、還付を受けるための手続きについて話をしているところでしたよね。

★【先生】

 消費税の「還付」を受けるには、「申告書」を提出しなければならない。「申告書」

を提出するには、「課税事業者」でなければならない。免税事業者が「課税事業者」に

なるためには、「消費税課税事業者選択届出書」を提出しなければならない、という

話をしました。

 今週は、「課税事業者選択届出書」の提出期限についての話です。

☆【生徒】

 やっぱりこういうものには、提出期限というものがあるのですね・・・

★【先生】

 正確には、「課税事業者選択届出書」を提出した場合には、その届出書がいつから

効力を発揮するのか、ということについてです。条文上の文言は、概ね次の通りです。

「~その提出をした事業者がその提出をした日の属する課税期間の翌課税期間

(注)以後の課税期間中に国内において行う課税資産の譲渡等については、納税義

務は免除されない。

(注)その提出をした日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間そ

の他の一定の課税期間である場合には、その課税期間」

☆【生徒】

 「?・・・提出をした事業者・・・免除されない・・・?」

★【先生】

 ・・・大事な部分がごっそり抜けました。すこし難しいですね。条文をバラバラに

して見てみましょう。

 まず、「その提出をした事業者」というのは、「課税事業者選択届出書」を提出した

事業者のことです。

次に「その提出をした日の属する課税期間」というのは、「課税事業者選択届出書」

を提出した日の属する課税期間のことです。例えば事業年度が4月1日~3月31日

の法人が、平成19年12月17日に「課税事業者選択届出書」を提出した場合には、

「その提出をした日の属する課税期間」というのは、平成19年4月1日~平成20年

3月31日の課税期間ということになります。

 さらに「~の翌課税期間」というのは、上記の例で言うと、平成19年4月1日~

平成20年3月31日の課税期間の翌課税期間ですから、平成20年4月1日~平成

21年3月31日の課税期間、ということになり、続いて「以後の課税期間中」とあり

ますので、合わせて読むと、“平成20年4月1日~平成21年3月31日の課税期間

から”、「納税義務は免除されない」、つまり課税事業者となる、ということになり

ます。

☆【生徒】

 ・・・ということは、「課税事業者選択届出書」は、提出した課税期間の翌課税期間

から適用が開始される、ということですね!

逆に言うと、適用を受けようとする課税期間開始の日の前日までに提出をしなけ

ればならない、ということですね!上記の例で言えば、平成20年4月1日~平成21

年3月31日の課税期間から適用を受けようとすれば、平成20年3月31日が提出

期限となる、ということですね!

★【先生】

 そうです。

 ただ、注書きに注意しなければなりません。「その提出をした日の属する課税期間

が事業を開始した日の属する課税期間その他の一定の課税期間である場合には、

その課税期間」とあります。法人成りする場合には、ここが重要です。

☆【生徒】

 また・・・難しい・・・

★【先生】

 「その提出をした日の属する課税期間」が、「事業を開始した日の属する課税期間」

等である場合には、翌課税期間からではなく、「課税事業者選択届出書」を提出した

課税期間から、この届出書の適用が開始される、ということです。

☆【生徒】

 ということは、上記の例で言えば、平成19年4月1日~平成20年3月31日が第

1期である場合には、「課税事業者選択届出書」の適用は、第1期からとなる、という

ことですね!

★【先生】

 そうです。

 逆に言えば、第1期に還付を受けたい法人の「課税事業者選択届出書」の提出期

限は、第1期の末日、つまり上記の例で言うと、平成20年3月31日である、という

ことになります。

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