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週刊 なるほど!消費税

〔課税事業者の選択_設立1期目等〕

第395号 2015/05/04

【先 生】

「さて、今日は、前回あなたから私に対して出された『設立1期目から課税事業者を選択したい場合には、どうすればいいのさ!こんちくしょう!』というクレームについての回答をしたいと思うわ。」

【生徒♂】

「ちょっとちょっと・・・『こんちくちょう!』なんて言ってないでしょ?どさくさに紛れて僕の爽やかイメージを壊すようなコメントはしないでよね。」

【生徒♀】

「誰もあなたを爽やかだなんて思っておりませんから、安心なさい。ところで、設立1期目の法人等がその第1期目から課税事業者を選択したい場合には、どうすれよろしいのですの?」

【先 生】

「確かに課税事業者選択の届出書の効力が生じるのは、原則として『その提出があった日の属する課税期間の翌課税期間』以後からなのだけれど、この『翌課税期間』には例外があるのよ。」

【生徒♂】

「その例外の1つに設立1期目なんかも含まれているって訳だね?」

【先 生】

「そのとおりよ。」

【生徒♀】

「具体的には、どのような決まりになっておりますの?」

【先 生】

「さっき言った『翌課税期間』の捉え方なのだけれど、課税事業者選択の届出書を提出した日の属する課税期間が、『事業を開始した日の属する課税期間その他一定の課税期間』である場合には、課税事業者選択の届出書の効力が生じるのは、『その事業を開始等した日の属する課税期間』から生じる事とされているのよ。」

【生徒♀】

「その『事業を開始した日の属する課税期間』というのには、『設立1期目』も含まれている訳ですわね?」

【先 生】

「ええ。そのとおりよ。」

【生徒♂】

「なるほど。じゃあ例えば、その提出した日の属する課税期間が、設立1期目だったとすると、その課税事業者選択の届出書の効力は、その提出した日の属する課税期間、つまり、第1期目から効力が発生して第1期目から課税事業者を選択出来るって訳だね?」

【先 生】

「そのとおりよ。課税事業者選択の届出書には、『何時から課税事業者を選択するか?』を記載する欄があるのだけれど、その欄に第1期目の課税期間を記載して提出すれば、第1期目から課税事業者を選択する事が出来るわ。」

【生徒♀】

「ん?・・・という事は、設立1期目中に課税事業者選択の届出書を提出するとした場合には、第1期目から課税事業者を選択するのか?或いは、第2期目から課税事業者を選択するのか?のどちらかを選べるって事ですわね。」

【先 生】

「そのとおりよ。第1期目から課税事業者を選択しても良いし、もちろん第2期目から選択しても構わないわ。」

【生徒♂】

「第1期目、又は、第2期目のいずれから課税事業者を選択するとしても『第1期目中に課税事業者選択の届出書を提出する必要がある』ってところがポイントだね!」

【先 生】

「そのとおりよ。あなたがまともな発言をするなんて珍しいわね。空からコモドオオトカゲが降って来なきゃいいけど・・・」

【生徒♂】

「流石にコモドオオトカゲは降ってこないでしょ。グールドオオトカゲなら降ってくるかもしれないけれど。こいつは気性が荒くて暴れん坊だよ♪」

【生徒♀】

「どっちも降ってなんか来ませんわよ・・・。ところで『事業を開始した日の属する課税期間』というのは、法人の設立の日の属する課税期間だけが該当しますの?」

【先 生】

「いい質問ね。原則としては、法人の設立の日の属する課税期間が該当するのだけれど、例えば、社会福祉事業等といった非課税資産の譲渡等のみを行っていた法人や或いは、国外取引のみを行っていた法人が、国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した課税期間なんかも『事業を開始した日の属する課税期間』に含まれるわ。(消基通1-4-7)」

【生徒♂】

「なるほど。法人そのものはずっと存在していたけれど、新たに消費税が課される取引を開始する場合も含まれるって訳だね。」

【先 生】

「そのとおりよ。あとは、設立の日の属する課税期間においては設立登記を行ったのみで事業活動を行っていない法人が、その翌課税期間等において実質的に事業活動を開始した場合も『事業を開始した日の属する課税期間』に含まれるのよ。(消基通1-4-7尚書き)」

【生徒♀】

「なるほど。確かに法人であれば、とりあえず設立したけれど、実際に事業活動を始めるのは1年~2年経過してからってケースもありますものね。」

【先 生】

「それと、その課税期間開始の日の前日まで2年以上にわたって国内において行った課税資産の譲渡等や課税仕入等といった課税取引を行っていなかった事業者が、課税資産の譲渡等に係る事業を再び開始した課税期間も『事業を開始した日の属する課税期間』に含まれるわね。(消基通1-4-8)」

【生徒♂】

「以前は課税取引を行っていた事業者が、暫くの間休眠していて、それが復活して課税取引を再開した場合には、その再開した課税期間中に課税事業者選択の届出書を提出すれば、その再開した課税期間から課税事業者になれるって訳だね。」

【先 生】

「そのとおりよ。課税事業者選択の届出書はその提出するタイミングが重要だから間違えないように気を付けるようにね。という訳で今回はここまで。次回は『課税事業者選択の不適用』の基本についてお話しするわね。ではまた次回!ばいばい!」

アトラス総合事務所 税理士
大森 浩次
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