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週刊 なるほど!消費税

〔吸収合併_合併事業年度の翌事業年度〕

第407号 2015/08/31

【先 生】

「さて、今回は吸収合併があった日の属する事業年度の翌事業年における合併法人の納税義務判定について説明するわね。」

【生徒♂】

「その場合も被合併法人の課税売上高が影響してくるのかな?」

【先 生】

「いいえ。すぐに被合併法人の課税売上高を考慮して判定する訳ではないわ。先ずは、合併法人自身の基準期間の課税売上高で判定するのよ。」

【生徒♀】

「なるほど。じゃあ、合併法人の合併事業年度の翌事業年度を次のとおりと仮定すると、その基準期間である平成25年4月1日~平成26年3月31日の課税売上高で判定しますのね?」

■合併法人(A社)

 〔合併事業年度の翌事業年度〕平成27年4月1日~平成28年3月31日

【先 生】

「そのとおりよ。平成26年3月期の課税売上高が1,000万円を超えているなら、合併法人の平成28年3月期は、課税事業者に該当するわ。」

【生徒♂】

「という事は、平成26年3月期の課税売上高が1,000万円以下である場合に被合併法人の課税売上高が影響してくる訳だね?」

【先 生】

「おっ!珍しく冴えているじゃない。そのとおりよ。合併法人の特定期間の課税売上高が1,000万円以下である事を前提とした場合、合併法人自身の基準期間の課税売上高が1,000万円以下である時には、被合併法人の課税売上高を加味して判定する必要があるのよ。」

【生徒♀】

「それはひょっとして、『基準期間に対応する期間における被合併法人の課税売上高』の事かしら?」

【先 生】

「ご名答♪そのとおりよ。但し、今回の『基準期間に対応する期間』の捉え方は、合併事業年度の納税義務判定を行う場合とはちょっと違うのよ。」

【生徒♀】

「確か、合併事業年度の納税義務判定を行う場合の被合併法人の『基準期間に対応する期間』というのは、『合併法人の合併があった日の属する事業年度開始の日の二年前の日の前日から同日以後一年を経過する日までの間に終了した被合併法人の各事業年度』を指すのでしたわね?」

【先 生】

「そのとおりよ。少し複雑な言い回しだったわよね。でも今回の『合併事業年度の翌事業年度』の納税義務判定を行う場合の『基準期間に対応する期間』の捉え方はもう少し分かり易いと思うわ。」

【生徒♂】

「分かり易いのは大歓迎だよ♪それはどういうふうに捉えるのかな?」

【先 生】

「それはね、『合併法人の当該事業年度の基準期間の初日から同日以後一年を経過する日までの間に終了した被合併法人の各事業年度』を指すのよ。」

【生徒♀】

「なるほど。合併法人・被合併法人の双方の事業年度が12ヶ月間であれば、単純に『合併法人の基準期間中に終了した被合併法人の事業年度』という訳ですわね?」

【先 生】

「そのとおりよ。その基準期間に対応する期間における被合併法人の課税売上高の合計額をその事業年度の月数の合計数で除して、これに12を乗じて計算した金額が、『基準期間に対応する期間における被合併法人の課税売上高』として捉えるのよ。」

【生徒♂】

「どうして『事業年度の合計数で除して、これに12を乗じる』必要があるの?」

【先 生】

「それはね、法人の場合、事業年度は必ずしも12ヶ月とは限らないし、途中で事業年度を変更する可能性もあるからなの。その場合、基準期間に対応する期間が12ヶ月ではないケースも生じてくるでしょ?」

【生徒♀】

「なるほど。だから『事業年度の合計数で除して、これに12を乗じる』ことによって、12ヶ月間ベースの課税売上高に引き直す訳ですわね。」

【先 生】

「そのとおりよ。こうして捉えた被合併法人の基準期間に対応する期間における課税売上高と合併法人自身の基準期間の課税売上高との合計額が1,000万円を超える場合には、合併法人の合併事業年度の翌事業年度は、課税事業者に該当するって訳。」

【生徒♂】

「今回の例でいうと、合併法人の平成27年4月1日~平成28年3月31日は課税事業者に該当する訳だね。」

【先 生】

「そのとおりよ。簡単にいうと、先ずは、合併法人自身の基準期間の課税売上高で判定し、それが1,000万円以下だったら、今度は、基準期間に対応する期間における被合併法人の課税売上高と合併法人自身の基準期間の課税売上高とを合計して判定する、というイメージね。」

【生徒♀】

「なるほど。合併事業年度の翌事業年度の納税義務判定方法が良く理解出来ましたわ♪」

【生徒♂】

「僕もちゃんと理解したよ。でも今夜の晩御飯を食べたらまたリセットして忘れちゃうと思うけど♪」

【先 生】

「まったく・・・どうせなら、あなたの脳天を思いっきり蹴っ飛ばして今すぐリセットさせてあげましょうか?」

【生徒♀】

「是非ともそうして差し上げてくださいな♪」

【生徒♂】

「勘弁してよ・・・」

【先 生】

「ホントに困った子達だわ。という訳で今回はここまで。次回は、『合併事業年度の翌々事業年度』の納税義務判定について説明するわね。ではまた次回!ばいばい!」

アトラス総合事務所 税理士
大森 浩次
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