
LLPとLLC
はじめに
ライブドアの事件が世間を騒がせています。関与した公認会計士も逮捕されそうですね。同業者として複雑な心境です。
ところでこのライブドア事件で話題となったものに投資事業組合というものがあります。ライブドアが利用した組合形式は民法上の任意組合です。任意組合は2名以上の者が出資により共同して事業を営む旨の契約をするだけで成立します。登記も届出も何もいりません。ですから粉飾にうまいこと利用できたと言えます。
任意組合と似た組織でLLP(Limited Liability Partnership 有限責任事業組合)と、この5月からできるLLC(Limited Liability Company 合同会社)というものがあります。今回は、この両者について説明いたします。
1.なぜLLPやLLCが登場?
株式会社ですと会社運営に制約が多くなります。株主総会の決議とか、取締役会の決議とかを経ないと事が進みません。そうではなくて、構成員の意思で組織運営の判断ができて、利益の分配も構成員で決められるのが任意組合です。しかし、任意組合の構成員は無限責任を負っていますので、事業に失敗すると家族が住む家まで失いかねません。そこで、登場したのがLLPとLLCで、組織運営と利益分配も自由にできて、かつ事業で生じた損失は出資額まで負担すればよいという有限責任制です。では、次に両者の違いについて見てみましょう。
2.LLCは法人格がある
LLCは株式会社と同様に法人格があります。ですから法人が権利義務の主体となることができますので、法人で契約したり許認可を受けたりすることができます。一方LLPは法人格がなく、契約や許認可も各構成員がすることになります。
3.税金の課税の仕方が違う
LLCは法人に税金がかかります。業務執行社員となる構成員に対する報酬は役員報酬となります。LLPは組織自体に法人税がかかることなく、各構成員に税金がかかる構成員課税です。構成員が個人であれば所得税が、法人であれば法人税がかかります。またLLPの構成員はLLPで生じた損失を出資額を限度として構成員の所得と相殺できますが、LLCはできません。
4.LLCは1人でも設立できる
LLPを設立するには最低2名の構成員が必要ですが、LLCの設立は1人でもできます。
5.LLCは株式会社になれる
LLCは組織変更して株式会社になることができますが、LLPはできません。
6.LLPは全員事業参加が要件
LLCでは、お金だけ出して何もしない構成員を置くことができますが、LLPではできません。構成員全員が何らかの形で業務の遂行に携わる必要がります。
7.LLCとLLPと株式会社の使い分け
上場を目指したり、株式会社というネームヴァリューにこだわりたい場合は株式会社。株主など気にせずに、皆で自由に会社を運営して、比較的短期で結果の出るリスキーな共同事業であればLLP、リスクが少なく継続的な利益が見込めるのであればLLCといったところでしょうか。
外国人労働者の雇用は
1. はじめに
外国人従業員のいる事業所が多くなっているようです。なかでも、外国人留学生を従業員として雇用している飲食店などが目立つところです。今回はその外国人従業員の雇用について注意すべき点を解説します。
2.働ける資格を持っていますか
日本にいる外国人は必ず「在留資格」を持っています。外国人は自分の持っている「在留資格」で認められた範囲の活動しかできません。
「在留資格」には働くことができる資格とできない資格があり、外国人が日本で働くためには、働くことが認められている「在留資格」を持っていなければなりません。
例えば、日本の大学で勉強している外国人留学生の在留資格は「留学」であり、この「留学」という在留資格は働くことが認められていません。もし働いてしまうと「不法就労」となります。
しかし、留学目的で滞在する外国人は「資格外活動許可」を得ることで、1週間で28時間を限度に働くことができるようになります。
3.許可された在留期間を超えていませんか
外国人を雇用する際には、まず前述の在留資格を確認し、その外国人が日本で働くことができるかどうかを判断します。次に、「在留期間」の確認が必要です。「在留期間」とは、日本に滞在できる期間のことで、この期間を超えて日本に滞在することはできません。もし、「在留期間」を超えて日本に滞在し、仕事をしているようであれば、それは「不法就労」となります。
4.不法就労に対する会社の責任は
不法就労の外国人を雇用した会社は罰則の対象となります。会社は外国人雇用の際に、必ず「在留資格」と「在留期間」を確認しなければなりません。
これらは、外国人登録証明書やパスポートの上陸許可証印で確認することができます。
5.労働関係は
外国人労働者に対して、労働基準法は日本人労働者と同様に適用されます。従って、外国人であることを理由に、給与や退職、解雇など全ての労働条件について、差別的取扱いをすることは許されません。
また、最低賃金に関しても法律が適用となるため、定められた最低賃金を上回る給与を支払わなければなりません。
この労働基準法や最低賃金法は「不法就労」の外国人にも適用されます。
6.社会保険の適用は
外国人労働者にも労働社会保険は適用されます。例えば、仕事中にケガをした場合は労災保険が適用となり、私傷病の場合は健康保険証を持って病院に行くことになります。もちろん年金にも加入することになります。
労災保険については「不法就労者」にも適用となりますが、雇用保険や健康保険、厚生年金保険については適用となりません。

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