新会社法と職権登記
5月1日から新会社法が施行されました。 予想したとおり5月は新会社の設立ラッシュでした。6月に入ってだいぶ落ち着きましたが、合同会社(LLC)の設立が最近は急に増えてきました。設立費用が安くて済むのと、税務上の扱いは株式会社と基本的に差異がないためであると思われます。合同会社という言葉の響きが世間一般で耳に慣れてくれば、今まであった有限会社みたいな存在になるような気がします。
以下、新会社法と登記官の職権登記の実務ついて説明いたします。
1.登記事項証明書の内容が変わった!
5月1日以降に自分の会社の登記事項証明書を登記所でとると、その内容が勝手に変更されていることに気付きます。これは、新会社法によって登記官が職権で登記事項証明書の内容を変更したことによります。では、どのように変更されたのかを見てみましょう。
2.株式会社の場合
株式会社については、以下の3つの事項が追加されています。基本的に、新会社法で例外規定とされている事項が、登記事項証明書に追加されています。
「当会社の株式については、株券を発行する」
- 新会社法では、株券の不発行を原則としています。これに対して、改正前の商法では株券の発行を原則としていました。したがって、新会社法では例外規定である「株券を発行する」を明示したわけです。
株券を不発行とするために、定款を変更してこの文言を削除しようとすると、登記手続きが煩雑で、かなりの費用もかかります。このままでも、株主の要求があるまで株券を発行しなくてもよいため、無理にこの文言を削除することはないでしょう。
「取締役会設置会社」
- 新会社法の下では、譲渡制限会社(株式の譲渡に株主総会の承認が必要な会社)は、取締役会を設置しないのが原則となります。改正前の商法では、取締役会の設置は必須でしたので、新会社法の例外規定として追加されたのです。
「監査役設置会社」
- 譲渡制限会社では、監査役を置かないのが原則です。上記?と同様の理由で、例外規定として追加されたものです。
3.有限会社の場合
公告をする方法「官報に掲載してする」
- 有限会社は、新会社法の下においても決算公告が不要であるのに、この規定が追加されて「なぜ?」と思われるかと思います。しかし、公告は決算公告だけでなく合併等の場合も必要になるのです。したがって、今まで公告の方法を定めていなかった有限会社は、すべてこの文言が追加されます。
出資一口の金額が削除され、発行可能株式数と発行済株式の総数が追加された
- 資本金額を出資一口の金額で割った株数が発行可能株式数と発行済株式数として追加されています。
株式の譲渡制限に関する規定
- 改正前では、有限会社については譲渡制限の規定はありませんでしたが、新会社法では、「株主間の株式の譲渡は自由だが、それ以外の譲渡は当会社の承認を要する」といった項目が追加されています。
健康保険が変わります
1.はじめに
仕事以外の理由で怪我をし、病気になったときに使う健康保険。病院で使う健康保険証だけが健康保険の役割ではありません。健康保険には様々な給付があるのはご存知ですか?その給付が今年10月から変わる予定です。今回は給付に関する変更点について簡単に見ていきます。
2.出産一時金の支給額
出産一時金は、妊娠4ヶ月目以上(85日以上)の出産に対して支給されます。加入者だけでなくその被扶養者が出産したときにも支給されます。
妊娠4ヶ月以上の出産であれば生産に限らず、死産、流産の場合でも支給されます。
現在の支給額は一子につき30万円ですが、平成18年10月から35万円に上がる予定です。
3.埋葬料の支給額
健康保険の加入者が死亡した場合には、埋葬料、埋葬費が支給されます。
埋葬料は、加入者が死亡した場合に、その加入者が生計を維持していた者(主に被扶養者)で実際に埋葬を行う者(葬儀を行う者)に対して支給されます。現在の支給額は標準報酬月額と同額(およそ給与1ヶ月分)ですが、平成18年10月から5万円となる予定です。
一方、埋葬費は、埋葬料の支給を受ける者がいない場合に、実際に埋葬(葬儀)を行う者に対して支給されます。現在は実費が支給されますが、平成18年10月から5万円が上限になる予定です。
4.出産手当金の支給額
出産手当金は、産前産後休業中(出産日以前42日、出産後56日の間)の働かなかった日について支給されます。現在の支給 額は標準報酬日額(およそ給与1日分)の60%ですが、平成19年4月から標準報酬日額(およそ給与1日分)の3分の2が支給される予定です。
5.傷病手当金の支給額
傷病手当金は、病気や怪我のため働くことができない日について支給されます。現在の支給額は標準報酬日額(およそ給与1日分)の60%ですが、平成19年4月から標準報酬日額(およそ給与1日分)の3分の2が支給される予定です。
6.退職後の給付
退職し、健康保険資格を失った後6ヶ月以内に出産した場合に出産手当金が支給されます。平成19年4月からはこの支給がなくなる予定です。
7.任意継続の場合
退職以前2ヶ月以上健康保険に加入していた場合、退職後20日以内に手続きをすることで健康保険を継続することができます。これを任意継続といい、退職前に加入していた健康保険を最長2年間継続することができます。任意継続中、現在は出産手当金や傷病手当金を受けることができますが、平成19年4月からはこれらの給付が支給されなくなる予定です。

