決算利益のねん出方法
1.はじめに
損益計算書は決算における利益の計算書です。ここで計算される利益は会社の営業成績を表します。しかし、決算の結果、「若干の赤字になってしまった」、「利益が赤字すれすれの状況だ」、といったような場合は少しでも利益を増やしたいものです。このような場合に、合法的?に損益計算書の利益を増やす方法を検討してみましょう。
2.工事進行基準を適用する
建設業やソフトウエア開発業においては、工事進行基準という売上の計上基準を採用することができます。
原則的な売上計上基準は、完成まで1年を超えるような工事やソフトウェアの開発でも、それらが完成して発注者に引き渡された時に売上を計上する工事完成基準となります。
今期に受注して作業を開始しても、完成引き渡しが翌期になるような場合は、工事完成基準によると売上高の計上は翌期になってしまいます。
一方、売上高を工事やソフトウェアの開発の進行度合いに応じて売上高を計上する工事進行基準によると、今期においても、作業の進行度合いに応じた売上高を計上することができるのです。
ですから、利益が不足気味の決算期においては、工事進行基準を適用して売上計上を前倒しすることにより利益をねん出することができるのです。
3. 消費税を税込表示にする
消費税の経理処理方法には、消費税を売上や経費の金額に含めて処理する税込経理と、含めないで仮受消費税や仮払消費税として消費税だけを抜き出して処理する税抜経理があります。
消費税の課税事業者はいずれの経理方法を採用することができます。
税抜経理では、売上高や経費には消費税が含まれていませんので、税込経理に比べると、消費税の額だけ売上高と経費が少なく損益計算書に記載されます。売上高が税込1050、経費が税込630を例に計算してみましょう。
- 税込経理:売上1050−経費630=420
- 税抜経理:売上1000−経費600=400
税込経理の方が、20だけ利益が多くなっています。この20は消費税の納税額(50−30)になりますが、税込経理で納税額の未払計上をしなければ、消費税納税額だけ税抜経理の損益計算より利益が出るのです。
4.倒産防止共済掛金
倒産防止共済掛金は、支払った金額が損金になります。しかし、4年以上掛け続けると、解約してもほぼ全額戻ってきます。したがって、掛金を支払った時に共済掛金で損金経理しないで、共済預け金などで資産計上することもできます。そうすれば、その分利益が増えます。
資産計上しても税金計算上は損金扱いにすることができるので、納税額が多くなることはありません。
労使協定ってなに?
1. はじめに
労働基準法では、一定の労働条件を定める際に、会社と労働者が合意をしなければならないことを定めています。この合意を「労使協定」といいます。
よく「36協定(サブロク協定)」という言葉を耳にすることがあります。この協定も労使協定の一つです。
また、労使協定には、労働基準監督署に届出が必要なものと、必要ないものがありますので、注意しなければなりません。
2. 36協定(サブロク協定)
36協定は、法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えて業務に就かせる場合や、休日に業務に就かせる場合に必要な労使協定です。この36協定を結んだら、労働基準監督署に届出なければなりません。
この36協定を労働基準監督署に届け出ることなしに法定労働時間を超えて業務に就かせたり、休日に業務に就かせたりすると、労働基準法違反になってしまいます。
3. 賃金控除協定
従業員の賃金から控除することができるものは、社会保険料や所得税、住民税です。これら以外のものを控除しようとする場合には、何を控除するのかを労使協定で決めなければなりません。
例えば、社宅家賃や貸付金の返済を従業員の賃金から控除する場合には、これらを賃金から控除することを具体的に労使協定で決めなければなりません。
この労使協定は、労働基準監督署に届け出る必要はありません。
4.休憩時間一斉付与除外協定
金融業などの一定の業種を除き、休憩時間は、従業員が一斉に取得することが原則 です。従業員がそれぞれ異なった時間帯に休憩時間を取ることは認められていません。休憩時間を従業員ごとに異なった時間帯に取らせるためには、労使協定が必要です。
この労使協定は労働基準監督署に届け出る必要はありません。
5. フレックスタイム制の協定
始業時刻と終業時刻を従業員の自由に委ねる制度がフレックスタイム制です。この制度を導入すると、従業員は一日のうち、いつ出社してもよく、また、いつ退社してもよいことになります。
このフレックスタイム制を導入するためには労使協定を結ばなければなりません。 この労使協定では、フレックスタイム制の対象となる従業員の範囲などを決めます。
また、この労使協定は労働基準監督署へ届け出る必要はありません。
6.専門業務型裁量労働制の協定
仕事のやり方や、労働時間の使い方を従業員に委ねる制度が専門業務型裁量労働制です。この、専門業務型裁量労働制を導入するためには労使協定が必要です。この労使協定ではこの制度の対象になる従業員の範囲などを定めます。
なお、この労使協定は労働基準監督署へ届け出なければなりません。

