アトラス総合事務所


アトラスニュース

NEWS目次へ NEWS前号へ NEWS次号へ

第42号 (1997年7月)

金融ビッグバン

ホンダとマツダ
  
 金融ビッグバン
 ビッグバンとは
   橋本首相が、2001年までに大規模な金融制度改革を実現することを、一般に金融ビッグバンと呼んで、マスコミにおいても、たびたび取り上げられています。
 ビッグバンという言葉は、もともと天文学上の用語で、宇宙誕生の際の大爆発を意味しています。そのような大爆発に匹敵するような大改革が行われるということです。
 
 金融改革の中味
   具体的な改革の中味は、金融においてのかなり専門的な数多くの項目から成っており、一般の人にとっては、なかなか分かりにくいものとなっています。
 ここでは、そのうち我々にとって身近と思われる幾つかの項目について述べてみましょう。
1 業態間の自由化
   これは、銀行、証券会社、生命保険、損害保険などの金融機関の各業務の垣根を取り払って、各業態が相互に乗り入れをするということです。
 たとえて言えば、一つの金融機関で預金ができることはもちろん、株式投資もでき、生命保険に入ることもできるということです。
 現在でも銀行が証券子会社を作ったり、証券会社が信託子会社を作ったりして、一部相互参入がおこなわれていますが、まだ、かなり規制されている形なのです。それを将来、完全な自由化を実現させていこうというわけです。
 こうなると、これに対応できない金融機関は衰退していかざるをえないことになります。
2 外国為替法の改正
   来年の4月から改正外国為替法(外為法)が施行されます。今まで海外との資金のやり取りが外国為替銀行など一部の金融機関を仲介しなければいけなかったのが、個人でも、企業でも自由に行うことができるようになるのです。
 今の法律では、例えば外国旅行で持ち帰った外貨を誰か他の人に売るようなことをすると違法行為となり、懲役3年以下という罰を受けてしまいます。そこで為替銀行などで外貨を円に換えるわけですが、その際には手数料を取られることになります。
 この改正で、自由に仲介業務ができるようになります。旅行会社や近くのコンビニでもやろうとすれば可能なのです。
 また、外国の銀行のサービスも自由に受けることができるようになります。外国の銀行にドル建てでも、円建てでも預金ができ、外国の銀行や証券会社から株や債権を買うのも自由となります。
 日本の金融機関は、この外為法の改正により、外国の金融機関との競争にも直面しなければならないことになるわけです。
3 金融機関の「経営の早期是正措置」
   大蔵省が金融機関の信頼性を維持するため「早期是正措置」という検査・監督制度を導入しようとしています。これは金融機関の自己資本比率などの経営指標により経営内容を評価し、一定基準に満たないものは、最悪の場合、業務停止命令が出されるというものです。
  
 個人責任の時代
   国内の金融機関同士の競争、外国金融機関との競争、そして、経営内容の悪いものは淘汰されていくとなれば、我々預金者の立場としては、自分の大事なお金をどの金融機関にどのように運用していくか、その自由度は増すにしろ、それだけ大いに迷うことになります。
 その判断を誤れば、利益は保証されず、損失を被ります。つまり全て自己責任となります。個人個人において確かな情報を集め、的確な判断をすることがこれから強く求められます。

ページのトップへ

 ホンダとマツダ
  新聞に載っていた決算公告で、ホンダとマツダを比較してみましょう
 
● 貸借対照表

   

ホンダ

マツダ

(資産の部)
 流動資産

6,497

3,801

  現預金

1,006

943

  受手・売掛金

2,028

1,593

  棚卸資産

1,469

540

  その他

1,994

725

 有形固定資産

4,781

4,026

  建物

1,443

1,041

  機械

772

1,320

  土地

1,904

944

  その他

661

721

 投資等

3,846

2,142

  子会社株式

2,811

785

  その他

1,035

1,357

資産合計

15,126

9,970

(負債の部)
 流動負債

5,252

3,669

  支手・買掛金

2,797

1,460

  短期借入金

195

838

  その他

2,260

1,371

 固定負債

1,490

2,559

  社債

1,000

2,084

  長期借入金

427

169

  その他

63

306

(資本の部)
資本金

860

1,200

準備金・剰余金

7,523

2,541

負債・資本合計

15,126

9,970


● 損益計算書
  営業収益

28,461

14,268

営業費用

26,850

14,321

営業利益

1,611

△ 53

営業外損益

55

192

経常利益

1,666

139

特別損益

- 7

78

税前利益

1,659

61

法人住民税

756

-

当期利益

903

61


 まず損益計算書を見ると、売上である営業収益が倍違います。マツダは営業収益から売上原価と販売費及び一般管理費の合計である営業費用を差し引いた営業利益が53億円の赤字となっています。一方ホンダは営業利益で1,611億円の利益です。マツダは本業で生じたこの赤字を手持ち株式の売却による営業外損益で埋め合わせることにより経常利益139億円を捻出しています。一方ホンダは、営業利益がほぼそのまま税前利益として計上され法人税住民税を756億円計上して当期利益903億円となっています。マツダは経常利益から子会社整理損等の特別損益78億円を引いた61億円が当期利益として計上されています。税金がゼロです。本来利益がでれば税金が出るはずですが、おそらく数年前の損失がまだ繰り越されているのでしょう。このように収益面ではマツダは資産を食いつぶして利益を出している状態です。

 売上が倍違えばそれを生み出す元である貸借対照表の資産合計(会社の財産合計)も倍違うのかというと、ホンダ15,126億円に対しマツダ9,970億円で、1.5倍に過ぎません。すなわちホンダはマツダの1.5倍の資産で倍の売上を計上していることになります。資産のうち、建物や機械等を内容とする有形固定資産の額は両者あまり変わりません。つまり、マツダはホンダに比して、設備の稼働効率が極端に悪いことを意味しています。

  また、有形固定資産中の土地の額もホンダはマツダに比べて約1千億円多く、担保余力に大きな差がありそうです。

 社債及び長期借入金・短期借入金といった有利子負債の額はホンダの1,622億円に対し、マツダ3,091円とマツダが倍近く有利子負債を背負っています。

資本の部の準備金剰余金は基本的に会社設立以来の利益の蓄積額です。マツダはホンダの3分の1で、過去における利益の蓄積度の違いが明白です。


以上、ざっと見てきましたが、このような決算公告は日経新聞に毎月掲載されますので、電車の中でもって決算書の見方を勉強するのに参考にしてください。
 



NEWS目次へ NEWS前号へ NEWS次号へ