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第98号 (2002年6月) 

給与所得控除の恩恵

使用貸借

1. 給与所得控除の恩恵
★ 1.はじめに

 
 最近の税制改正論議で「給与所得控除の見直し縮小」ということが言われています。

給与所得控除とはサラリーマンに対しての国が認めた必要経費のことです。これが縮小されると給与所得者は全員増税となります。この仕組を見てみましょう。
 

 2.給与所得控除とは?


 
個人事業者は事業収入からその収入を得るためにかかった必要経費を控除することにより事業所得を計算します。

 給与所得者にも同様に給与収入から給与を得るために必要な経費を認めています。これが「給与所得控除」です

 個人事業者の必要経費は実際にお金を支払った経費であることが必要です。

 一方、給与所得者の必要経費である給与所得控除は実際にお金を使っていなくても給与所得者に一律に認められているものです。


 3.給与所得控除の仕組


 給与所得控除は、給与の年収(賞与も含みます)により控除額が決まります。

年 収 (万円) 給 与 所 得 控 除
162.5以下

162.5超180以下

180超360以下

360超660以下

660超1,000以下

1,000超

65万円

年収×40%

年収×30%+18万円

年収×20%+54万円

年収×10%+120万円

年収×5%+170万円

 

年収300万円の場合の給与所得控除は300万円×30%+18万円=108万円となります。

年収800万円の場合の給与所得控除は800万円×10%+120万円=200万円となります。

年収1,200万円の場合の給与所得控除は1,200万円×5%+170万円=230万円となります。

 4.非常に有利な制度


 このように給与所得者は会社のために自ら何も経費を使わなくても、多額の経費を認められています。

 税金計算上、「給与年収からこの給与所得控除を引いて、配偶者控除などの所得控除を控除した金額に税率をかけます」ので、給与所得控除が多ければ多いほど節税になるわけです。逆に給与所得控除額が減れば増税となります。

 5.特定支出控除


 給与所得控除の代わりに、給与所得者が実際に給与所得を得るために使った実費経費(特定支出)の選択が認められています。

 特定支出の内容は、通勤費、転居費、研修費、資格取得費、単身赴任者の帰宅旅費です。

 しかし、特定支出の実際の確定申告での利用者は全国で10人以内となっていて、ほとんど利用されていません。それだけ給与所得控除が有利であるということの証明でしょうか。

 6.今後は特定支出重視となるか?

 改正論議では、給与所得控除を圧縮して実額控除である特定支出の利用を促すようですが、今後の改正論議に注視する必要があります。

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 使用貸借


 親の土地に子供がマイホームを建てるというのはよくある話です。しかし、その方法の違いで多額の贈与税が課税されることがあります。
 

 1.ふたつのケース


1 Aさんのケース

 Aさんは親の土地にマイホームを建てさせてもらいました。Aさんはとても親思いで、律儀な性格の人です。いくら親の土地でもただで使わせてもらうのは心苦しいというので、せめて通常の相場の地代だけでも親に支払うことにしました。

2 Bさんのケース

Bさんも親の土地にマイホームを建てたのですが、Bさんはどちらかというとチャッカリとした性格なので、親の土地を使わせてもらっているのに当然のようにまったくただですましています。

3 税務上の対応

税務署がこれらの事実を知った場合にどんな処分をするでしょうか。

親思いのAさんには多額の贈与税を課税し、チャッカリ者のBさんに対しては何のおかまいもなしとなります。

税務署は親孝行を否定するのかといいたくなりますが、これが税法の取り扱いなので仕方ありません。

 2.賃貸借と使用貸借

  
1賃貸借

Aさんのように通常の相場の地代を支払った場合は土地の賃貸借となります。

建物の所有を目的とする土地の賃貸借は借地借家法という法律の適用を受け、土地を借りている権利すなわち借地権そのものに財産的価値があるのです。

通常、赤の他人から土地を借りてそこに自分の名義の建物を建てる場合には契約時に多額の権利金の授受が行われます。この権利金が借地権という財産の対価に相当します。

Aさんの場合、通常の相場の地代だけ支払って権利金を支払っていません。そこで、借地権という財産を親からただで贈与されたということで贈与税が課税されるのです。

Aさんが親に対して通常の権利金を支払っていれば、贈与税の課税はありません。

また、税法で規定された「相当の地代」を支払う場合も借地権の贈与税課税はされません。「相当の地代」は通常の地代より相当高い、いわば権利金込みの地代なのです。

2使用貸借

一方、Bさんのようにまったくただで土地を使わせてもらう場合を使用貸借といいます。この場合は借地借家法の適用を受けず、土地を借りていることに借地権という財産的価値を認めません

使用貸借は通常、赤の他人同士では行わず親子、夫婦など親族間のように信頼できる人的関係のもとに行われます。

Bさんの場合、使用貸借ということで、借地権の贈与は認められず、税法上は何のおかまいもないのです。

なお、使用貸借でも土地の固定資産税の金額以下の授受があっても使用貸借の範囲として認められます。

子供が使用している土地の固定資産税ぐらいは子供が自分で負担してもそれで贈与税はかかってきません。


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