アトラス総合事務所


アトラスニュース


NEWS目次へ NEWS前号へ NEWS次号へ


第99号 (2002年7月) 

ワールドコムの不正会計

使用貸借

1. ワールドコムの不正会計
★ 1.はじめに

 
 エンロンの倒産と、それに続いたワールドコムの不正会計事件により、ニューヨーク市場は大荒れの状況です。その影響が東京市場にまで及んでいます。ワールドコムの不正会計とは、一体何だったのでしょうか。
 

 2.費用が固定資産として計上


 ワールドコムでは2001年の決算と2002年にかけて、本来「ラインコスト」として費用として計上しなければならないものが、固定資産として計上されていたというものです。

その額は、2001年で約3,570億円、2002年の3ヶ月間で932億円になるということです。

 3.費用と資産の意味


 費用とは人件費や交通費のように支払ったときやサービスを受けたときに、全額を収益から控除するものです。

 一方、資産とは支払ったときやサービスを受けたときに、全額を収益から控除しないで、固定資産や投資資産などで一旦計上しておき、必要に応じて収益から控除するものです。

 ですから、費用が増えれば増えるほど収益から費用は引かれますから、その結果利益は減少します。逆に資産は増えても、すぐに費用は増えませんから、利益が急激に減ることはありません。
 

 4.ワールドコムに当てはめると


 ワールドコムは本来ラインコストとして費用となる数千億円の金額を固定資産として資産計上していました。収益から数千億円費用として引かれずに、資産として計上されていたわけですから、会社の利益は膨らみます。

 そして、この膨らんだ利益を見て投資家はワールドコムの株式を買うわけですから、たまったものではありません。この不正経理をしていた期間において、監査を担当していたのがエンロン社を監査していたアンダーセン社であるのも皮肉なものです。

 5.資産か費用かは曖昧


 現行の日本の会計制度においても、ある支払を費用とするのか、資産とするのかは、企業の裁量に任されているものがあります。

つまり、費用でも資産でも自由にできるものがあります。

 それは、商法上の繰延資産といわれるもので、代表的なものが開発費、試験研究費、開業費などです。

 6.商法上の繰延資産は任意償却

 開発費とは、「新技術の採用、新資源の開発、新市場の開拓のために支出した金額、および現に採用している経営組織の改善や生産能率の向上または生産計画の変更などのために支出した金額のうち、経常的に支出されるものではないもの」です。

 この定義に当てはまる支払であれば、全ての金額を開発費として資産計上することも、また全額を費用とすることも自由にできます。さらに、一旦開発費として資産計上した金額はいつでも、全額でも、またその一部の金額でも費用として処理できます。

 試験研究費や開発費も同様の扱いで、非常に便利な支払いということができます。

税務上も、以上の扱いでまるっきり問題ありません。

ページのトップへ

 使用貸借


 前回は親の土地に子供がマイホームを建てるケースでしたが、今回は親の土地に貸家を所有するケースを考えてみます。
 

 1.2つのケース


1 Aさんのケース

 Aさんは親の土地に自分所有のアパートを建てさせてもらいました。土地は借地権の贈与税課税を受けないように使用貸借で借り受けています。土地はタダで使わせてもらっているのですから、アパートの建築資金は親の援助なしで、なんとか自己資金でまかなうという、Aさんはどちらかというと律儀な性格です。

2 Bさんのケース

 Bさんも親の土地に自分のアパートを所有しています。土地はAさん同様に親からの使用貸借です。しかしアパートの建物は親自身が建築し、一定期間賃貸していたものをその建物だけをBさんが贈与を受けたのです。 

 Bさんの場合、アパートの建築資金は親が負担しており、親から贈与されたときに贈与税は払いますが、自分が建築資金を出すよりかなり安くつくはずです。どちらかというとチャッカリとしたやり方です。

この2つのケースは、結果として親の土地を使用貸借して自分名義のアパートを所有していることで同じなのですが、将来において親の相続が発生したとき、土地の評価に大きな違いが出てきます。

 2.貸家建付地の評価

  
1使用貸借地の評価

 使用貸借より土地を貸している場合は、貸していても借地権を認めないのですから、借地権をゼロとして自用地としての評価つまり更地の評価になります。

 Aさんの場合、このアパートの敷地は親からの相続時には、この原則通りに自用地評価になります。

2貸家建付地の評価

 一方Bさんはどうかというと、Bさんだって親の土地を使用貸借していることに変わりありません。しかしBさんの場合は自用地評価ではなく、貸家建付地としての評価になります。

貸家建付地の評価は次の通りです。

  貸家建付地の価額=自用地価額×(1−借地権割合×借家権割合)

 借地権70%、借家権30%とすると、自用地1億円の評価の土地が、21%の2100万円減額され、7900万円の評価になることになります。

 上記の算式の借地権割合×借家権割合の部分は「借家人の有する宅地等に対する権利」といわれるものです。

 Bさんの場合、アパートはそもそも親が建てて、親とアパートの借家人との間で賃貸借契約が締結されています。この契約により親の土地には「借家人の有する宅地等に対する権利」が発生していることになります。建物がBさんに贈与されてもこの権利はそのまま変更されないで引き継がれるのです。

チャッカリ者のBさんは律儀なAさんよりまたしても相続税の上で得をすることになります。



NEWS目次へ NEWS前号へ NEWS次号へ


アトラス総合事務所
〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町31-14 岡三桜丘ビル2階
TEL 03ー3464-9333  FAX 03-3476-4665
代表者
公認会計士・税理士 井上 修
E-mail info@cpainoue.com


ホームページへ