平成14年中に自己破産を申し立てした個人は、214,634人(前年比33.8%増)と年々増え続けている傾向にあります。不況の長期化や自己破産の手続きが簡略化されたことなどが影響しているようです。
今回は「もし破産をされたら…」というケースも踏まえて、自己破産について勉強してみたいと思います。
「破産=借金がチャラになる」というイメージがありますが、破産とは「財産が無いので、債務(借金)の支払ができません」という状態を裁判所に宣言し、財産があれば債権者に公平に分配する手続です。自己破産とは、債務者本人が破産の申し立てを行うことです。
個人の場合は、破産手続終了後、免責(=債務免除)の申し立てを行い、裁判所が「免責決定」を出すと債務が免除となります。
従業員が自己破産を申し立てた場合、従業員自身に日常生活上の不利益は実質的にありません。本人からの報告がない限り、その事実が判明することもほとんどありません。
仮にその事実を把握した場合でも、事業主は社員の自己破産を理由に従業員を解雇することはできません。解雇を行った場合は不当解雇となります。
法人の場合は、先述の通り解散となるので実質的に財産が存在しない場合は、ただちに消滅となります。
自社の従業員については「使用者都合による解雇」となりますので、30日以上の予告期間をおいて解雇するか、解雇予告手当を支払う必要があります(労働法20条1項)。
社長が法人の債務を連帯保証している場合、社長個人の保証人としての責任は残ります。この保証債務を回避するには、残念ながら社長も自己破産を申し立て、裁判所から「免責決定」を受ける以外方法は無いと思われます。
時間外、休日、深夜に労働をさせた場合、通常の賃金に加え割増賃金の支払が必要となります。割増賃金の不払は賃金の不払です。従業員のどの労働に対して割増賃金を支払えばよいのかを確認してみましょう。
時間外労働とは1日8時間、1週40時間を超える時間の労働をいいます。
事業所で決められている所定労働時間が7時間で、8時間仕事をしても1時間分の割増賃金の支払は必要ありません。ただし、1時間分の通常賃金の支払は当然必要です。
休日とは1週に1回の休日のことなので、祝祭日などの1週1回を超える休日はここでいう休日にはなりません。したがって、1週1回を超える休日に働いたとしても休日労働とはなりませんので、休日に係わる割増賃金の対象外です。ただし、その労働が1週40時間を超えるものであれば時間外労働となり、時間外労働に係わる割増賃金の支払が必要です。
深夜とは午後10時から午前5時までの時間帯をいいます。この時間帯に働くと深夜労働となります。一定の場合を除き、18歳未満は深夜労働を禁止されています。
割増賃金額は、時間外労働に対しては2割5分以上、休日労働に対しては3割5分以上、深夜労働に対しては2割5分以上の率を通常の賃金額に掛けた額と定められています。例えば、通常時給1,000円の従業員が所定労働時間7時間の事業所で10時間働いたとします。この場合、8時間の労働に対しては8,000円(1,000円×8時間)が支払われ、1日8時間を超えた2時間の労働に対しては2,500円(1,250円×2時間)が支払われます。もし、8時間を超えた2時間の労働が深夜に該当するときは、1,500円(時間外労働の2割5分と深夜の2割5分)×2時間で3,000円が支払われます。
休日については時間外という考え方がないので、深夜に該当しない限り3割5分以上の率で割増賃金額が算出されます。
割増賃金を手当として定額で支給している場合がありますが、この場合、実際の割増賃金額よりも手当の額が低ければその差額を支払わなければなりません。例えば、毎月の手当としての割増賃金が50,000円、一方、実際の割増賃金が60,000円とすると、事業主は手当に加えて差額である10,000円を支払わなければなりません。また、逆に、実際の割増賃金よりも手当の額が高くなった場合は、手当を減額することなく支払うことになります。
年俸制を採っている場合であっても割増賃金の支払は必要です。年俸に割増賃金が含まれる場合、支払うべき割増賃金額に対する考え方は、前述の「手当として定額で支給している場合」と同です。この場合、通常の賃金部分と割増賃金部分が明確に区別されている必要があります。
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