アトラス総合事務所

HOME » 相続について

相続について

〔小規模宅地特例〕老人ホーム入居の特例_未届の老人ホームは除外

老人ホームへの入居と小規模宅地特例

 平成25年度税制改正により、平成26年1月1日以後に発生した相続・遺贈からは、要介護認定又は要支援認定を受けていた被相続人が介護を受ける為に老人ホーム等へ入居した為、空き家となっていた宅地に係る小規模宅地特例の適用要件が緩和されています。

詳細は、こちら をご参照ください。

施設の種類

 被相続人が、介護を受ける為に入居した施設として、この特例の対象となる施設の範囲は、次のように限定されております。
措令40の2②

〔特例対象となる施設〕

 ■認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居(老人福祉法5の2⑥)
 ■養護老人ホーム(老人福祉法20の4)
 ■特別養護老人ホーム(老人福祉法20の5)
 ■軽費老人ホーム(老人福祉法20の6)
 ■有料老人ホーム(老人福祉法29①)
 ■介護老人保健施設(介護保険法8[27])
 ■サービス付き高齢者向け住宅(上記の有料老人ホームを除く,高齢者の居住の安定確保に関する法律5①)
 ■障害者支援施設・共同生活援助を行う住居(障害者総合支援法5⑪⑮等)

未届出の有料老人ホーム

 上記の施設の内、最も一般的な施設と言えるのが『有料老人ホーム』だと思います。
 有料老人ホームとは、高齢者の方に入浴等の介助や食事の提供などの日常生活に必要な支援を行う施設の事です。
 施設の設置には、特別な規制が無い為、多くの民間企業が参入しており、入居に要する費用も比較的安価なものから
 高額な高級志向のものまで様々なタイプがあるようです。

 ところで、要介護認定又は要支援認定を受けていた被相続人が、有料老人ホームへ入居した場合であっても、『■その入居が介護の必要の為であり、且つ、■その被相続人が従前に居住の用に供していた家屋を貸付等他の者の居住の用に供した事実が無い』といった要件を満たせば、その被相続人が有料老人ホームへ入居後に死亡した場合であっても空き家となっていた家屋の敷地について、小規模宅地の特例を受ける事が出来ます。

 しかし、ここで注意が必要となります。

有料老人ホームは届出が必要

 この小規模宅地等の特例対象となる有料老人ホームとは、『老人福祉法第29条1項に規定する有料老人ホーム』と規定されています。(措令40の2②イ

 そして、この老人福祉法第29条1項においては、『有料老人ホームを設置しようとする者は、その施設を設置しようとする地の都道府県知事に一定の事項を届け出なければならない』と規定しています。

 しかし、有料老人ホームの中には、この義務付けられている届出を行っていない施設もあります。

未届けの有料老人ホームは適用除外

 では、法令による届け出義務を履行していない有料老人ホームへの入居は、この小規模宅地等の特例を受けられるのでしょうか?

結論から申し上げますと、法令よる届け出義務を履行していない有料老人ホームは、この小規模宅地等の特例対象となる施設に該当しない事となります。

違法な施設は想定していない

 前述したとおり、この小規模宅地等の特例対象となる有料老人ホームとは、措令40の2②イにおいて『老人福祉法第29条第1項に規定する有料老人ホーム』と規定しており、また、老人福祉法第29条第1項においては、有料老人ホームを設置しようとする者に対して都道府県知事への届出を義務付けています。

 つまり、『都道府県知事への届出をした有料老人ホーム』が『老人福祉法第29条第1項に規定する有料老人ホーム』であると規定されている以上、都道府県知事への届出を行っていない有料老人ホームは、老人福祉法第29条第1項に規定する有料老人ホームに該当しない、と解される事となります。

 よって、都道府県知事への届出を行っていない有料老人ホームは、この小規模宅地等の特例対象となる施設に該当しないという事になります。

届出の確認方法

 その有料老人ホームが、都道府県知事への届出を行っているか否か?の確認は、その施設の重要事項説明書に記載されているケースが多いようです。
 又は、各都道府県のHPに掲載されているケースもあるようなので、各都道府県へ問い合わせてみると判明するものと思います。

« 記事一覧に戻る

ページの先頭へ