民法上の配偶者とは?
民法上の配偶者とは?
民法上の『配偶者』とは、市区町村役場に婚姻届出を提出し受理された者を指します。
(民法第739条)
つまり、いわゆる『内縁者』は、民法上の配偶者に該当しないのです。
例えば、内縁者が女性(内妻)であれば、下記の点について不利益を被ってしまいます。
婚姻届出を強制出来ない
内妻は、民法上の妻ではありません。
よって、相手方の男性は、法律上『独身』扱いとなる為、他の女性と結婚する事も事由です。
この場合、その内妻が取り得る対抗手段は、せいぜい慰謝料を請求するくらいです。
父無き子
内妻が出産した子は、法律上は、父親の無い子となってしまいます。
この場合、父親が認知しない限り、その父親と子との間には親子関係は発生しません。
従って、仮に父親が莫大な財産を残して死亡したとしてもその認知されていない子は、父親の財産を相続する権利を持たない事になります。
妻としての相続権が無い
上述したとおり内妻は、民法上の配偶者ではありませんので、内妻は、民法が妻に認めている相続権を持たない事になります。
よって、どんなに内縁期間が長かろうともその内妻は、原則として相手の男性の財産を一切相続する事は出来ない事になります。
内縁者でも財産を相続出来る?
上記のとおり、内縁者は法律上の配偶者ではない為、内縁の相手方が死亡した場合であっても原則としてその財産を相続する権利を持っていません。
しかし、例外的に内縁者であってもその相手方の財産を引き継げる途があるのです。
相続人が誰もいない場合
もし、内縁の相手方が死亡した場合において、その相手方に相続人が誰もいないときはどうなるのでしょうか?
死亡した者に相続人が一人もいない場合には、その死亡した者の財産は、国庫に帰属するのが原則です。
しかし、家庭裁判所が相当と認める特別縁故者がある場合には、その死亡した者の財産の全部又は一部をその特別縁故者に与える事が出来る事となっているのです。(民法第958条の3)
特別縁故者とは?
民法上、特別縁故者とは『被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者』と定めています。
内縁者の位置付け
その被相続にと長期間生活を共にし、肉親に近い愛情をもってその被相続人の世話をしていた事実があれば、内縁者は、上記でいう『被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者』に含まれるものと考えられます。
家庭裁判所への申し立て
内縁者が、その被相続人の財産について特別縁故者としての権利を主張する場合には、一定の期間内に家庭裁判所に対しその旨の請求を行う必要があります。
そして、この請求が認められれば、その内縁者に財産が分与される事となります。
なお、特別縁故者に該当するか否か?やどの程度の財産を分与するか?といった部分は、全て家庭裁判所の裁量によって決められます。
このように内縁者には、原則として被相続人の財産を引き継ぐ権利は無いのですが、被相続人と事実上の婚姻関係があった内縁者がある場合には、その内縁者に遺産を分与する途が開かれているのです。