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相続について

婚姻が無効となる場合

婚姻が無効となる場合とは?

 民法上、婚姻が無効となるケースは、次の2つの場合に限定されています。(民法第742条

  ■人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。
  ■当事者が婚姻の届出をしないとき。
   但し、その婚姻届出が、民法第739条2項に掲げる条件を欠くだけであるときは、その婚姻届出   
   は有効となります。

人違い

 婚姻が無効となるケースとして掲げられている『人違い』ですが、結婚しようとしている当事者がその相手を間違える、なんて事があるのでしょうか?

昔は有り得た

 民法の内、婚姻関係の条文を定めている『親族編』が制定されたのは、1898年のことです。
 1898年といえば、今から100年以上も昔です。

 その当時の結婚はというと現代の自由な結婚とは異なり、結婚当事者の意思に関係無く双方の家の親同士が一方的に決めてしまう結婚も少なくありませんでした。
 また、その当時の相続は、現代の相続とは大きく異なり『家督相続』が行われていました。

〔家督相続〕

 これは、旧民法規定で、戸主が死亡等した場合に一人の相続人が戸主の身分・財産を一手に相続する制度です。
 そして、その一手に相続する者は、一般的には戸主の長男となる場合が殆どでした。

家督相続故の人違い

 上記のとおり、家督相続時代には、その家の長男が全財産を相続しますので、女性からすれば『自分の結婚相手が長男か否か?』は、非常に重要な問題だったといえます。

 自分の夫が長男であれば、ゆくゆくはその家の全ての財産が自分達夫婦のモノになりますが、自分の夫が長男以外であれば、財産が手に入らないのですから、雲泥の差が生じる事になります。

 更に当時は戦争による混乱もありましたから『長男だと思っていたからこそ自分の結婚相手として選んだのに実は次男だった』なんて事も珍しくは無かったのです。

 その為、婚姻が無効となるケースとして『人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき』が挙げられているのです。

人違い以外なら現代でも有り得る

 現代社会においては、上記の家督相続時代のような人違いが起きるケースは、非常に稀だと思います。

 しかし、現代社会においても『当事者間に婚姻をする意思がないとき』は、生じ得るのです。

 それは、詐欺等により本人が知らない内に勝手に婚姻届出書を提出されるケースや精神的病にある人が、平常心を失っている状態で婚姻届出書を提出した、というケースです。

 これらはいずれも当事者間に婚姻をする意思がありませんので、その婚姻届出は、無効となります。

婚姻届出の未履行

 婚姻が無効となるケースの2つ目として『当事者が婚姻の届出をしないとき』が挙げられていますが、これは、当然といえば当然です。

 何故なら民法第739条において『婚姻は、戸籍法の定めるところによりこれを届け出ることによって、その効力を生ずる』と明確に定めているからです。

 そもそも民法上の婚姻関係が成立する為の前提条件を欠いているわけですから、無効となってしまうのは当然ですね。

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