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相続について

結婚の取り消しの効果

婚姻取り消しの効果

 婚姻取り消しの効果として、民法第748条においては、次の2つを挙げています。

  ■婚姻の取り消しは過去に遡及しない
  ■婚姻によって得た財産の返還

〔効果1〕婚姻の取り消しは過去に遡及しない

 婚姻を取り消しても、その取り消しの効力は過去には遡及しません。(民法第748条1項

 つまり、その婚姻は『取り消されるまでは有効』となり、『取り消された以降は無効』となるのです。

 従って、例えば、取り消される前に妊娠したり生まれた子は、正規の婚姻から生まれた子(嫡出子)として取り扱われるのです。

婚姻の無効とは大きく違う

 この『取り消しの効力は過去に遡及しない』という点が、『婚姻の無効』と大きく異なる部分です。

 婚姻の無効を定めた民法第742条に基づき、その婚姻が無効となった場合には、その婚姻は、婚姻成立時に遡って当初から無かったものとされます。

〔効果2〕婚姻によって得た財産の返還

 婚姻が取り消された場合、その婚姻によって財産を得ている場合には、その婚姻の取り消しに伴いその得た財産を返還しなければなりません。

 但し、その得た財産の全部を返還するのか否か?については、その婚姻の当時において取り消しの原因があることを知っていたか否か?によって異なってきます。

取り消しの原因があることを知らなかった場合

 婚姻した当時において、その婚姻が将来取り消される事を知らなかった当事者が、その婚姻に伴い配偶者から財産を貰ったり、或いは、死亡した配偶者から財産を相続する等して財産を得ていた場合には、その婚姻の取り消しに伴い、現に残っている財産を返還する必要があります。(民法第748条2項

 つまり、その婚姻に関連して得た財産の全てを返還する必要は無く、取り消された時点で手元に残っている財産のみを返還すれば足りる、という訳です。

取り消しの原因があることを知っていた場合

 婚姻した当時において、その婚姻が将来取り消される事を知っていた当事者が、その婚姻に伴い配偶者から財産を貰ったり、或いは、死亡した配偶者から財産を相続する等して財産を得ていた場合には、その婚姻の取り消しに伴い、その婚姻に関連して得た財産の全てを返還する必要があります。(民法第748条3項

更には損害賠償も

 婚姻当時、本人はその婚姻が将来取り消される事を知っていたが、相手方である配偶者は、その婚姻が将来取り消される事を知らなかった場合において、その婚姻が取り消されたときは、その本人は、相手方である配偶者に対し、損害を賠償する責任が生じます。(民法第748条3項

 例えば、悪意を持って違法な婚姻を持ちかけ、その相手方である配偶者から財産を得た場合において、その婚姻が取り消されたときは、その違法な婚姻を持ちかけた者は、その得た財産の全額を返還し、更に損害賠償金も支払うハメになる、という訳です。
 悪い事は出来ませんね。

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