相続税法と民法
相続税を理解するために
人が死亡した場合、その死亡した者(これを『被相続人』といいます)が遺した財産に課される税金が、相続税です。
この相続税という税金について、その計算方法や諸々の手続き等に関する決まり事を定めているのが『相続税法』という法律です。
この相続税法には、相続税以外にも贈与税という税目についても定められています。
民法の知識が不可欠
相続税や贈与税を理解する為には、これらを規定している相続税法を理解する事がもちろん大切です。
しかし、その相続税法を理解するには、更に大切な事があるのです。
それは、民法の知識なのです。
どうして民法の知識が必要?
民法とは、私人つまり公権力を持たない人同士の関係を規定した私法の中で最も基本となる法律であり、『民法は私法の一般法である』とも言われています。
それだけ私達の生活に非常に密接に関わっている法律の1つと言えるのです。
ところで、相続税や贈与税を理解する上でどうして民法の知識が必要になってくるのでしょうか?
それは、相続税法は、民法を基盤として策定されているからに他なりません。
相続税法の中で規定されている相続税や贈与税に関する様々な決まり事は、実は民法の規定を基盤としている部分が非常に多いのです。
例えば、相続を考える上でとても重要な事柄である『相続人の範囲』については、民法第887条、889条、890条にその基本原則が定められていますし、また、これも重要な事柄である相続によって自分が貰える財産の割合(法定相続分)については、民法第900条において定められています。
このように民法を理解する事は、相続税法を理解する上で必要不可欠と言えるのです。
民法の構成
民法は、全5編から構成されており、その内容は、次のようになっています。
(第一編)総則
(第二編)物権
(第三編)債権
(第四編)親族
(第五編)相続
上記の内、相続税法に直接関わってくるのは、第五編の相続です。
この第五編に先に挙げた相続人の範囲や法定相続分といった相続に関して非常に重要な事柄が定められているのです。
なお、第四編の親族には、養子に関する事柄が定められているのですが、この養子に関する知識も相続に絡んできますので、第四編の親族の知識も大切と言えるでしょう。
民法は難しい?
民法は、その条文数が約1,040条と非常にボリュームがあり、また難解な部分も多い為、民法を完全に理解するのは、至難の業と言えるでしょう。
しかし、第四編の親族編や第五編の相続編は、私達の生活に非常に密接に関わってくる事柄を定めているので、案外読みやすく親しみが持てるかもしれません。
試しに一読されてみては如何でしょうか?