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相続について

相続の開始とは?

相続の開始とは?

 改めて考えてみると、『相続の開始』とは、どういった状況を指すのでしょうか?

 『人の死=相続の開始』となるのでしょうか?

 相続の開始とは、ある個人(被相続人)に帰属する積極財産(預貯金や不動産、株券など)や消極財産(住宅ローン等の借入金や未払債務など)が、その個人の『死』を原因として、その個人と親族関係を持つ配偶者や子といった特定の個人へ包括的な承継と移転が発生することを意味します。

相続が開始しない場合も

 上記のとおり、相続の開始とは、被相続人に帰属する積極財産や消極財産が、被相続人の親族へ承継・移転する事を意味します。

 逆を言えば、その被相続人に積極財産や消極財産が全く存在しない場合には、『相続』という問題自体が発生しないのです。

 とは言え、これはあくまでも理論上の話であり、人間誰しも生きていれば、ある程度の積極財産を保有するでしょうし、またある程の消極財産も保有するでしょう。

 よって、人の死が発生すれば、そこには必ず『相続』が発生すると考えて良いでしょう。

相続開始の原因

 相続開始の原因、それは人の『死』です。

 ここでいう『人』とは、自然人つまり個人の事であり、法人は含まれません。

 法人には、『解散』という事象は生じ得ますが、『死』という事象は生じないからです。

自然死亡と擬制死亡

 民法では、人の死をもって相続が開始されるとしています。(民法第882条

 ところで、人の死には『自然死亡』と『擬制死亡』の2つがある事をご存知でしょうか?

 民法においては、この『自然死亡』・『擬制死亡』のいずれにおいても相続開始の原因とされています。

〔自然死亡〕

 これは通常の死、つまり具体的に遺体を確認し、医師の診断に基づき確認がなされる死を指すと考えられます。
  
 しかし、現時点において日本では、法律上『死』の定義があるわけではありません。

 以前は、『心臓死』つまり、自発呼吸の停止・心拍動の停止・瞳孔拡大の三兆候が揃うと『死』とされていましたが、現代では『脳死』についての結論が出ておらず、未だ『死』について法律上の定義づけがなされておりません。

 もし将来、『脳死も人の死である』と法的な定義づけがなされれば、脳死と判定された時点で相続が開始される事になるでしょう。

〔擬制死亡〕

 これは、実際に遺体の確認等をして死を確認した訳ではありませんが、法律上は死亡したものとみなす、というものであり、『失踪宣告』という手続きによりなされます。

 失踪宣告とは、ある個人が『生死不明』の状態である事を指し、その生死不明の状態が一定期間継続した時点でその失踪宣告を受けた者を法律上死亡したものとみなして、法律関係の処理をしようとする制度です。

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