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相続について

相続開始の時期

相続開始の時期

 『相続の開始』は、自然人である個人が死亡した瞬間に発生します。

 よって『相続の開始』という事象は、相続人が被相続人の死亡の事実を知っていたか否かを問わずに被相続人が死亡した瞬間に自動的に発生する事になります。

 これは、被相続人の財産や債務に関して、たとえ一瞬でも空白(無主)の状態が発生すると、その財産や債務に関する法律関係に混乱が生じてしまうからです。

申告期限の起算日とは一致しない場合も

 上記のとおり、『相続の開始』という事象は、被相続人が死亡した瞬間に発生し、その相続人がその死亡の事実を知っていたか否かを問いません。

 それに対し、相続税の申告期限は、『その相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内』と定められています。
相法第27条

 通常は、「被相続人が死亡した日=相続の開始があったことを知った日」となります。

 しかし、場合によっては、「被相続人の死亡日」と「相続の開始があったことを知った日」が一致しないことも有り得るのです。

 具体的な例としては、下記のケースが挙げられており、それぞれに定める日が「相続の開始があったことを知った日」となります。(相基通27-4

 

〔失踪宣告〕

 民法第30条及び第31条の規定により失踪の宣告を受け死亡したものとみなされた者の相続人又は受遺者は、これらの者が当該失踪の宣告に関する審判の確定のあったことを知った日。

〔相続人に係る失踪宣告〕

 相続開始後において当該相続に係る相続人となるべき者について、民法第30条の規定による失踪宣告があり、その死亡したものとみなされた日が当該相続開始前であることにより相続人となった者は、その者が当該失踪の宣告に関する審判の確定のあったことを知った日。

〔失踪宣告の取消し〕

 民法第32条に定める失踪宣告の取消しがあったことにより、相続開始後において相続人となった者は、その者が当該失踪宣告の取消しに関する審判の確定のあったことを知った日。

〔認知の訴え〕

 民法第787条に定める認知の訴えによる裁判、又は、民法第894条に定める相続人の廃除の取消しに関する裁判の確定により、相続開始後において相続人となった者は、その者が当該裁判の確定を知った日。

〔相続人の廃除〕

 民法第892条又は893条の規定による相続人の廃除に関する裁判の確定により、相続開始後において相続人となった者は、その者が当該裁判の確定を知った日。

〔胎児〕

 民法886条の規定により、相続について既に生まれたものとみなされる胎児は、その法定代理人がその胎児の生まれたことを知った日。

〔幼児等〕

 相続開始の事実を知ることのできる弁識能力の無い幼児等は、その法定代理人がその相続の開始のあったことを知った日。(相続開始の時に法定代理人がないときは、後見人の選任された日)

〔遺贈〕

 遺贈(被相続人から相続人に対する遺贈を除く)によって財産を取得した者は、その者が自己の為に当該遺贈のあったことを知った日。

〔停止条件付の遺贈〕

 停止条件付の遺贈(被相続人から相続人に対する遺贈を除く)によって財産を取得した者は、当該停止条件が成就した日。

相続開始の具体的な時期

 では、相続が開始する時期とは、具体的にはどのタイミングになるのでしょうか?

 これは、『自然死亡』の場合と『擬制死亡』の場合の2つのケースに分けられます。

自然死亡の場合

 自然死亡の場合、つまり医師が死亡診断書を作成する等して死亡の確認を行った場合には、その死亡診断書や戸籍簿に記載された死亡の年月日時分が、相続開始の時期となります。

擬制死亡の場合

 擬制死亡、つまり失踪宣告により死亡したものとみなされる場合の死亡の時期は、普通失踪と特別失踪(危難失踪ともいいます)の2つに分かれます。

〔普通失踪〕

 普通失踪の場合は、7年間の失踪期間を満了した時に死亡したものとみなされます。(民法第31条

 つまり、失踪してから7年間を経過した時点で相続が開始される事になります。

〔特別(危難)失踪〕

 特別失踪の場合は、その危難が去った時に死亡したものとみなされます。(民法第31条

 ここでいう『危難』とは、例えば、戦争や船の沈没といった事象を指します。

 これらの危難が去った時、つまり戦争であれば『戦争が終結した時』であり、船の沈没であれば『船が沈没した時』に相続が開始される事になります。

≪終わり≫

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