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相続について

成年者や胎児の認知

承諾の要る認知

 婚姻外で生まれた子を『自分の子です』と認める認知手続きは、一般的には、認知しようとする父親が、市区町村役場に認知届を提出して行いますが、父親の方から一方的に認知してはいけないケースもあります。

 それは、成年(満二十歳)になった子や胎児若しくは死亡した子を認知する場合です。

成年の子の認知

 認知しようとしている子が、成年(満二十歳)になっている場合には、その子本人の承諾が無ければ認知する事は出来ません。(民法第782条

父親の身勝手は許されない

 子供という存在は、小さい内は何かと手が掛かるし、養育費も掛かります。

 従って、子が小さい内は認知せずに放っておいて、いざその子が成人になりある程度の生活力を身に付けたら『自分が父親だ』と名乗り出てその子を認知し、『老後の面倒を見て貰おう』なんていう父親の身勝手を禁じる趣旨なのです。

胎児の認知

 父は、婚姻外の子がまだ生まれる前、つまり、まだ胎内に在る場合でも認知する事が出来ます。
 
 但し、その為には、母親の承諾が必要となります。(民法第783条1項

母親が親権者

 母子については、出産の事実をもって母と子との間には親子関係が発生します。

 よって、子が生まれれば、当然母親が親権者になります。

 その親権者になるであろう母親の承諾無しに父親がその胎内に在る子を認知出来ないのは、当然と言えば当然です。

 まだ生まれぬ子が、身勝手な父親に一方的に認知されて、自分を扶養するように要求されたのでは、その子の母親としては、たまったものではないという訳です。

死亡した子の認知

 婚姻外で生まれた子の認知については、その子が既に死亡している場合であっても、その死亡した子に直系卑属があるときに限って、その死亡した子を認知する事が可能です。(民法第783条2項

 通常は、死亡した子を認知する必要はありません。

 しかし、その死亡した子に直系卑属(子や孫等)がある場合には、その子の認知を通じて、父親とその直系卑属との間に相続関係や扶養関係が発生しますので、死亡した子を認知するか否か?が大きな問題になるのです。

成人に達していたら承諾が必要

 死亡した子を認知する場合において、その死亡した子の直系卑属が、成人(満二十歳)になっているときには、その直系卑属本人の承諾が無ければ、その死亡した子を認知する事は出来ません。

 その死亡した子を認知する事により、その父親とその直系卑属との間には、血族としての親族関係が発生します。

 その親族関係を理由にして、その直系卑属に対し自分を扶養するように要求する等といった父親の身勝手を防ぐ為にも直系卑属本人の承諾が必要となっている訳です。

≪終わり≫

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