アトラス総合事務所

HOME » 相続について

相続について

相続人_子の代襲相続

相続人の範囲

 相続人となれる者の範囲は、法律によって定められており、その範囲は、下記のとおりです。
 (民法第887条、889条

   ■配偶者
   ■子及びその代襲者(再代襲者を含む)
   ■直系尊属
   ■兄弟姉妹及びその子

配偶者

 ここでいう配偶者とは、法律上の配偶者を指します。

 つまり、市区町村役場への婚姻届出がなされ、受理され、正規の婚姻関係にある配偶者の事を指します。(民法第739条

 従って、いわゆる『内縁関係』にある場合には、その者は、相手方が死亡したとしても相続人となる資格を持っておらず、原則として亡くなった者の財産を相続する事は出来ません。

子及びその代襲者

 被相続人の子及び代襲者は、相続人となります。

 ここでいう子には、被相続人の養子も含まれます。

 養子は、普通養子・特別養子の2種類がありますが、いずれも法律上は、その被相続人の子として取り扱われますので、当然、相続人となる資格を有します。

 但し、婚姻外で生まれた非嫡出子については、父に認知されない限りその父の相続人にはなれません。

 なお、非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の法定相続分の1/2とする民法第900条4項但し書き前段の規定は、平成25年12月に廃止されており、今現在では、嫡出子と非嫡出子の法定相続分に差異は無いものとされています。

直系尊属

 被相続人の父母や祖父母は、相続人となる資格を有します。

 この場合、直系尊属でありさえすれば、その関係が実父母であっても養父母であっても差異は生じません。
 
 よって、養父母だからといって実父母の場合と比べて相続人としての地位が下がるという事は無いのです。

 また、直系尊属の場合は、その親等数の近い者が優先されます。

 つまり、祖父母よりも父母が優先的に相続人になれるという訳です。

兄弟姉妹

 被相続人の兄弟姉妹もまた相続人となる資格を有します。

 兄弟姉妹には、父母を同じくするもの(全血兄弟姉妹)と父母の一方のみを同じくするもの(半血兄弟姉妹)がありますが、その区別に関係無くいずれも相続人となります。

 但し、半血兄弟姉妹の法定相続分は、全血兄弟姉妹の法定相続分の1/2となります。
民法第900条④項

子の代襲相続

 相続人の範囲に挙げられている被相続人の子には、その子の代襲者が含まれます。

 では、この『代襲者』とは、一体何でしょうか?

代襲者

 本来であれば、相続人となる筈だった被相続人の子が、一定の理由により相続する事が出来ない場合には、その子に代わってその子の子(つまり被相続人の孫)が相続します。(民法第887条②項

この被相続人の孫に相当する者を『代襲者』と言い、このような相続を『代襲相続』と呼びます。

子の代襲者の要件

 被相続人の子の代襲者となる為には、下記のそれぞれの要件を満たす必要があります。

〔(要件1)子が相続権を失っていること〕

     被相続人の子が、次の理由により被相続人に対する相続権を失っている必要があります。
       ■相続開始前に死亡している。
       ■相続欠格事由に該当している。(民法第891条
       ■相続人から廃除されている。(民法第892条
 
 なお、被相続人の子が、その被相続人に対する相続を放棄することによっても相続権を失う事になります。

しかし、被相続人の子が相続を放棄した場合には、その子は当初から居なかったものとして扱われるため、その子を代襲する事は出来ません。(民法第939条

〔(要件2)直系卑属であること〕

  子の代襲者となる者は、被相続人からみて直系卑属、つまり『孫』に該当する必要があります。

  例えば、被相続人(X)の養子(A)にAの子(a)がいるとします。

  このaが、XとAとの間の養子縁組前に生まれていた場合、つまり、Aの連れ子としてXとAが養子縁組をしていた場合には、aは、Xの孫には該当せず他人に過ぎませんから、aはAの代襲者になることは出来ません。

それに対し、aがXとAとの間の養子縁組後に生まれたのであれば、aはXの孫に該当する為、aはAの代襲者になることが出来ます。

〔(要件3)被代襲者に対する相続権を失っていないこと〕

 代襲者(被相続人の孫)は、被代襲者(被相続人の子)に対する相続権を失っていないことが必要です。

 もし、代襲者が、相続人の欠格事由や相続人の廃除により被相続人の子に対する相続権を失っている場合には、その代襲者は、被代襲者を代襲する事が出来ません。

〔(要件4)生存していること〕

 代襲者は、その相続開始の時点において生存している必要があります。

再代襲相続

 被相続人の子の代襲者である孫が、既に死亡していたり、相続人の欠格事由や相続人の廃除により被相続人の子に対する代襲相続権を失っている場合にはどうなってしまうのでしょうか?

 この場合には、その孫の子(つまり、被相続人の曾孫)が孫に代わって代襲する事になります。(民法第887条③項

 これを『再代襲相続』といいます。

 例えば、被相続人(X)の子(A)が、Xに対する相続権を失っていた場合には、通常であれば、Aの子であるa(Xの孫)が代襲相続します。

 しかし、そのaもまたAに対する相続権を失っていた場合には、aの子(Xの曾孫)がXを代襲相続するという訳です。

≪終わり≫

« 記事一覧に戻る

ページの先頭へ