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相続について

遺言書の有無を確認する

被相続人が遺言書を作成していたかどうかを確認します。遺言書が無ければ、遺産分割協議を行うことになりますが、遺言書がある場合には、遺言書どおりに相続するか等を協議しなければなりません。また、遺言の種類によっては、家庭裁判所での検認が必要になりますので、注意が必要です。

遺言の種類

遺言には普通方式遺言と特別方式遺言があります。特別方式遺言は死が直前に迫っている等、やむを得ない状況で行う例外的なもので、通常は普通方式遺言が作成されています。この普通方式遺言には、次の3つの種類があります。

公正証書遺言
遺言者の遺言内容を基に、公証人が公正証書として作成した遺言です。平成元年以降に作成されたものであれば、データベースで管理されていますので、お近くの公証役場に行けば、その存在の有無を確認することが出来ます。

自筆証書遺言
遺言者が遺言の内容等全文を自筆した遺言です。遺言の中で最も簡単に作成することが出来ますが、書式や必要条件などが厳格に定められているため、不備があれば無効となります。この自筆証書遺言を発見した場合には、家庭裁判所で検認を受けなければなりません。遺言書に封がされていた場合は、開封せずに家庭裁判所に提出します。

秘密証書遺言
存在のみを公証人に証明してもらった遺言です。公証人は内容まで確認していないので、内容や書式に不備があれば無効となります。秘密証書遺言を発見した場合も、家庭裁判所で検認を受ける必要があります。自筆証書遺言と同様に、こちらも開封してはいけません。

※検認とは?
相続人に対し遺言の存在や内容、体裁を知らせるとともに、偽造や変造を防止するための検証手続きです。

遺言書どおりに相続する場合

遺言書どおりに相続する場合は、事務的に手続きを進めていくことになります。

しかしながら、その内容があまりにも不公平な時はどうすれば良いでしょうか?

例えば、全財産1億円を愛人に相続させるという内容の遺言書が見つかったとします。このような遺言書であっても、不備が無ければ有効となります。しかし全財産を愛人に取られてしまっては、残された妻と子供は生活していけません。そんな時のために、民法では「遺留分」という制度が設けられています。

遺留分とは、被相続人の財産のうち、法定相続人(兄弟姉妹は除く)の最低限の取り分として保障するもの、すなわち、必ず相続人に対して遺さなければならない部分をいいます。先程の例で考えますと、妻と子供の遺留分はそれぞれ2,500万円ずつと計算されますので、愛人に対し、合計5,000万円の返還を求めることが出来ます。この請求を「遺留分減殺請求」といいます。

遺留分減殺請求は、権利を主張することでその効力を発揮出来ます。言い換えれば、権利を主張しなければ、遺留分は認められず、不公平な遺言書のまま相続が完結してしまいます。また、遺留分減殺請求は、被相続人の死亡と減殺すべき遺贈または贈与があったことを知った日から1年間(知らなかった場合には、被相続人の死亡から10年間)で時効となります。

遺言書と異なる遺産分割をしたい場合

遺言書が残されていた場合でも、相続人(受遺者を含む)全員の同意があれば、遺言内容と異なる遺産分割を行うことが出来ます。ただし、相続人でない受遺者が遺贈の放棄をすれば、その人は遺産を取得できなくなってしまいますので、注意が必要です。もし、受遺者に遺産を渡したい場合には、その受遺者に遺贈する旨が記載されている遺産については、遺言書どおりにその人に取得させ、相続人に対する遺産については、遺産分割の対象とさせる方法が良いでしょう。

※受遺者とは?
遺言により遺産をもらう人のうち、相続人以外の人をいいます。

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