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相続について

法定相続分とは?

相続分とは?

 相続分とは、相続が発生した際に相続人が被相続人の財産等を相続する割合、つまり相続の『分け前』の事です。

 この相続分には、『法定相続分』と『指定相続分』の2つがあります。

 『法定相続分』とは、民法の規定に基づく相続分であり、『指定相続分』とは、遺言による相続分の事を指します。

 では、先ず『法定相続分』について見てみる事にしましょう。

法定相続分

 法定相続分は、民法第900条において定められています。

 

具体的な割合

 では、法定相続分の具体的な割合をみてみましょう。

 法定相続分は、『誰が相続人になるか?』によって下記の3パターンに分けられています。

 1.相続人が『配偶者』と『子』の場合
 2.相続人が『配偶者』と『直系尊属』の場合
 3.相続人が『配偶者』と『兄弟姉妹』の場合

配偶者と子の場合

 相続人が、配偶者と子の場合の法定相続分は、下記のとおりとなります。
  
   ■配偶者 1/2
   ■ 子  1/2

 つまり、配偶者と子は、同じ割合で相続する事になる訳です。

 なお、子が複数人ある場合には、子の相続分である1/2をその子の人数で均等に頭割りします。

 例えば、子が2名(AとB)ある場合の相続分は、各々『1/4(=1/2×1/2)』となります。

〔非嫡出子の法定相続分〕

 以前の民法の定めでは、非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の1/2とされていました。
 (旧民法第900条第4号但し書き

 しかし、平成25年9月4日、最高裁判所は、この旧民法の規定を『法の下の平等を定める憲法第14条1項に違反している』とする違憲決定の判決を下しました。
            
 この最高裁判決により、平成25年9月5日以後に開始した相続からは、非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の法定相続分と同じ割合になる事と改正されました。

配偶者と直系尊属の場合

 相続人が、配偶者と直系尊属の場合の法定相続分は、下記のとおりとなります。

 ■配偶者 2/3
 ■直系尊属 1/3

 なお、被相続人の直系尊属、つまり父母が双方とも生存している場合のその父母の相続分は、直系尊属の相続分である1/3を各々均等に頭割りします。

 つまり、被相続人の父と母の相続分は、各々1/6(=1/3×1/2)ずつになるという訳です。

〔父母が死亡している場合〕

 では、例えば、被相続人の父母の内、母親が既に死亡している等して相続権を失っており、その母親の父母(つまり、被相続人の祖父母)が生存している場合は、どうなるのでしょうか?

 この場合、父親のみが相続人となり、母親の父母は相続人となる事は出来ません。

 これは、親等数の異なる直系尊属がある場合には、被相続人に親等数の近い方が優先的に相続人となるからです。
民法第889条1項一号

 逆を言えば、被相続人の父母の双方が既に死亡する等して相続権を失っている場合には、その父母の両親、つまり被相続人の祖父母が相続人となります。

 この場合、父方の両親・母方の両親の区別に差は無く、その相続分は、各々平等となります。

〔実父母と養父母〕

 被相続人が養子縁組をしていると、被相続人と直系尊属の関係には、その父母として『実父母』と『養父母』の両方が存在する場合がありますが、そのいずれも相続分に差は無く、各々平等の相続分となります。

 例えば、被相続人甲の法定相続人が、下記のとおりだったと仮定します。
   ■妻:乙
   ■実の母:C
   ■養父母:養父Aと養母B

 この場合、妻乙の法定相続分は、2/3となりますので、直系尊属の法定相続分は、1/3となります。

 この直系尊属分の1/3をA・B・Cの3名で均等に頭割りするので、各々の法定相続分は、1/9(=1/3×1/3)ずつになる、という訳です。

〔普通養子に限る〕

 但し、これは、『普通養子』の場合に限ります。

 養子縁組には、『普通養子』と『特別養子』の2つがあります。

 普通養子の場合は、その養子と実父母との関係は、養子縁組後も継続します。

 しかし、特別養子の場合は、養子縁組が成立した後は、その養子と実父母との親族関係は、断絶するのです。
民法第817条の9

 従って、特別養子の場合には、養父母のみが相続人となり、実父母は相続人となれないのです。

配偶者と兄弟姉妹の場合

 相続人が、配偶者と兄弟姉妹の場合の法定相続分は、下記のとおりとなります。

   ■配偶者 3/4
   ■兄弟姉妹 1/4

 なお、兄弟姉妹が複数人ある場合には、兄弟姉妹の相続分である1/4をその兄弟姉妹の人数で均等に頭割りします。

 例えば、相続人となる兄弟姉妹が3名ある場合には、各々の相続分は、1/12(=1/4×1/3)ずつになるという訳です。

〔全血兄弟姉妹と半血兄弟姉妹〕

 兄弟姉妹には、父母の両方を同じくする『全血兄弟姉妹』と父母の一方のみを同じくする『半血兄弟姉妹』があります。

 半血兄弟姉妹の法定相続分は、全血兄弟姉妹の法定相続分の1/2と定められています。
民法第900条4号但し書き

〔兄弟姉妹間の嫡出と非嫡出〕

 兄弟姉妹の中に嫡出子である者と非嫡出子である者があったとしても、その相続分に差は無いと解されています。

 例えば、被相続人甲には、甲と両親を同じくする兄弟姉妹である乙と丙があったとします。

 乙は、両親が婚姻中に生まれましたが、丙は両親が離婚後に生まれたとします。

 この場合、乙は嫡出子となりますが、丙は、婚姻外で生まれた子でる為に非嫡出子となります。

 嫡出子・非嫡出子という差異はありますが、甲・乙・丙の両親は同じです。

 この場合、被相続人甲の法定相続人となる乙と丙との間の法定相続分は、平等となり、嫡出子・非嫡出子の別による差異は、生じないのです。

身分関係が重複する場合の法定相続分

 例えば、被相続人が、自分の孫を養子として迎え入れる場合があります。

 孫を養子として迎え入れると、その孫は、養親である被相続人の子として扱われます。

養子とした孫が代襲相続人だったら?

 例えば、被相続人甲の孫Cを甲の養子としており、その孫Cの父親であり甲の子でもあるAは既に死亡していると仮定します。

 被相続人甲には、A以外にも子Bがいます。

 この場合、被相続人甲に対する法定相続分を考える上での法定相続人の数は、下記の3名となります。
   ■B
   ■Aの代襲相続人としてのC
   ■養子縁組による甲の子としてのC

 このように孫Cは、物理的には『1名』ですが、法定相続分を考える上では『2名分』の法定相続分を持つ事になるのです。

 子の法定相続分を1/2とすると、子1名当たりの法定相続分は、1/6(=1/2×1/3)となりますので、孫Cの法定相続分は、その2名分である2/6(=1/6+1/6)になるという訳です。

代襲相続人の相続分は?

 本来、相続人となる筈だった者に代わって相続人となる者を『代襲相続人』と言い、その相続人となる筈だった者を『被代襲者』と呼びます。

 この代襲相続人の相続分は、その被代襲者が本来相続する筈だった相続分を承継します。
 (民法第901条

 つまり、被代襲者について、上記の『法定相続分』の規定に準じて求めた相続分が、代襲相続人の相続分になるという訳です。

≪終わり≫

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