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相続について

認知された子_準正

認知された子と嫡出子

 婚姻外で母親が生んだ子を父親が「自分の子です。」と認めて、市区町村役場に認知届出書を提出すると認知が成立します。

 父親に認知された子は、その父親に対する相続権を有しますし、扶養義務を請求する事も出来ます。

 しかし、たとえ認知されたと言ってもその母親と父親との間に婚姻関係が無い以上は、その子は、非嫡出子という身分である事に変わりはありません。

 では、この認知された非嫡出子である子が、嫡出子になる術は無いのでしょうか?

 ご安心下さい。これには、『準正』という方法があるのです。(民法第789条

「準正」により嫡出子になれる

 認知された子が嫡出子になる為には、『準正』という方法があります。

 この準正には、大きく分けて『婚姻準正』と『認知準正』の2つがあります。

婚姻準正

 婚姻準正というのは、母親が子を出産し、父親が子を認知した後にその子の母親と婚姻する事により、この父母の嫡出子になることを言います。

 流れで言いますと、『母が出産』⇒『父親が認知』⇒『その父母が婚姻』というケースです。

 つまり、婚姻前の男女間に子が生まれ、その子を父親が認知してから父母が婚姻するというパターンであり、このようなケースは、現代社会においては、決して珍しいケースでは無いと言えるでしょう。

〔入籍の届出が必要〕

 婚姻準正による場合は、既に認知の届出はなされている為、父母が婚姻届出を提出するだけで、その子は父母の嫡出子としての身分を得られます。

 但し、その子が父母の戸籍に入る為には、別途入籍の届出が必要となります。

 この入籍の届出を行う事により、その子は父母の戸籍に入り、氏を承継する事となります。

認知準正

 認知準正というのは、母親が出産し、その母親と父親が婚姻した後に父親がその子を認知する事により、その子がこの父母の嫡出子になる事を言います。

 流れで言いますと、『母親が出産』⇒『父母が婚姻』⇒『父親が認知』というケースです。

 先に述べた婚姻準正と流れが似ていますが、両者の違いは、『婚姻と認知のタイミング』にあります。

婚姻準正と認知準正の違い

 婚姻準正と認知準正ですが、両者に共通しているのは、先ずは『母親の出産』が先に生じている、という点です。

 両者の違いがあるのは、『父親の認知』と『父母の婚姻』のどちらが先に生じるか?という点なのです。

婚姻準正は認知が先

 婚姻準正では、父親の認知が先に生じます。

 父親が認知してから、父母が婚姻する事により、自動的にその子も父母の戸籍に入る事になり、父母の嫡出子になるのです。

認知準正は婚姻が先

 認知準正では、父母の婚姻が先に生じます。

 父母が婚姻してから、父親がその子を認知する事により父母の嫡出子になるのです。

 但し、父母が婚姻した時点では、まだ認知の届出がなされていない為、必ず認知の届出を行う必要があるので注意が必要です。

母親の認知

 婚姻外で生まれた子を認知するという手続きは、父親だけではなく母親も行う事が可能です。

 しかし、母子関係というのは、分娩の事実があれば、それで確定されますので、一般的には、母親が認知するというケースは殆ど無いようです。

非嫡出子の法定相続分

 従来は、非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の1/2と定められていました。

 しかし、この規定は『憲法に違反している。』として最高裁判所は、平成25年9月4日に違憲決定の判決を下しました。

 この判決により、平成25年9月5日以後に発生した相続からは、非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の法定相続分と同じとなりました。

≪終わり≫

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