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相続について

遺産の分割

遺産分割

 被相続人が遺した遺産がある場合には、これを相続人間で分ける事になります。

 これを「遺産分割」と呼びます。

 では、この遺産分割はどのような基準で行えば良いのでしょうか?

遺産分割の基準

 遺産の分割は、個々の遺産の種類・性質(例えば、遺産が農地であるか、貸家であるか、預金であるか等)や相続人の年齢、職業、心身の状態、生活の状況等々一切の事情を考慮して、公平且つ適切に行う事が必要とされています。(民法第906条

現実的には?

 確かに上記の基準に従って、例えば、農地であれば農業を営んでいる相続人へ、家屋であれば実際にその家屋に居住している相続人へ、被相続人が日頃から特定の相続人へ預金を与えたいと周りに洩らしていたのであれば、預金はその相続人へといった具合に遺産が分割されるのが理想的でしょう。

 しかしこのような分割を行うと、場合によっては、特定の相続人の取り分が本来の法定相続分を超えてしまう場合もあるでしょうし、また、遺産の状況や態様によっては、上記の基準に充分に従えない場合もあるでしょう。

 また、上記のような基準があるからといって、法定相続人の法定相続分までをも変更出来るというものではありません。

マイナスの財産も分割の対象に

 遺産分割の対象となる遺産とは、預貯金や不動産、有価証券等といったプラスの財産だけではなく、借入金等のようなマイナスの財産も対象となります。

 プラスの財産だけを引き継いでマイナスの財産は引き継がない、という虫のよい話は認められないという訳です。

遺産分割の実行

 遺産の分割は、被相続人が遺言により遺産分割を禁じた場合を除き、いつでも相続人全員の協議で遺産分割を実行する事が出来ます。(民法第907条

具体的な分割方法

 遺産分割の方法には、大きく分けて次の3つの方法があります。

■現物分割
 遺産を現物のまま分割する方法で、遺産分割の原則的方法と言えます。

 例えば、自宅不動産は長男が相続し、預貯金は次男が相続する、といった分割の方法です。

 最も単純で明瞭な分割方法と言えるでしょう。

■代償分割
  共同相続人の一人又は数人が、相続財産を現物にて取得し、その現物を取得した者が、他の共同相続人に対し、債務を分担する遺産分割の方法を指します。

 例えば、相続人が長男と次男の2名であり、相続財産は1億円の土地が1筆のみだったとします。

  本来であれば、この土地を長男と次男が半分ずつ相続するところですが、長男が土地の全部を相続し、その代わりに長男が次男に対して5,000万円の現金を支払う事を約束する、という分割の方法です。

  不動産(特に土地)が遺産分割により細分化する事を回避したい場合等に有効な分割方法です。

■換価分割
  共同相続人の一人又は数人が、相続により取得した財産の全部又は一部を金銭に換価し、その換価した代金を分割する、という分割の方法です。

  相続人が遺産である不動産の所在地から離れた場所に居住している為、遺産である不動産の管理が困難な場合等に有効な分割方法です。

分割が調わない場合は?

 もし、相続人同士で協議してもその協議が調わない場合、又は、相続人中の誰かが行方不明や病気で協議に参加出来ない、或いは、協議を拒む等の理由で協議出来ない場合には、家庭裁判所に調停又は審判を申し立てて、分割して貰う事が出来ます。

≪終わり≫

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