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相続について

小規模宅地_家なき子と二世帯住宅

二世帯住宅の構造要件撤廃

 おさらいになりますが、平成26年1月1日以後に開始する相続から構造上区分されている二世帯住宅について、その構造要件が撤廃されております。

構造要件の撤廃とは?

 例えば、二階建の一棟の建物で、その1階部分に被相続人(配偶者は既に他界し、今は独身)が居住し、2階部分に被相続人の長男が居住し、1階部分と2階部分とは建物内部で往来出来ない構造になっている二世帯住宅(1階部分と2階部分の床面積は同一)があり、その敷地の用に供されている宅地の面積は、240㎡だと仮定します。

平成25年12月31日以前の相続の場合

 平成25年12月31日以前に発生した相続においては、このような構造になっている二世帯住宅に被相続人が居住していた場合、その敷地の用に供されている宅地等の内、特定居住用宅地等として80%評価減の対象になる部分は、被相続人が居住している1階部分に対応する部分のみとなっておりました。

 つまり、被相続人に係る特定居住用宅地等として80%評価減の対象にある宅地の面積は、120㎡(=240㎡×1/2)という具合です。

平成26年1月1日以後の相続の場合

 一方、平成26年1月1日以後に発生した相続においては、このような構造になっている二世帯住宅に被相続人が居住していた場合、その宅地の全体(240㎡)が特定居住用宅地等として80%評価減の対象になります。

〔但し区分所有登記は除く〕

 但し、その二世帯住宅である建物が区分所有登記されている場合には、被相続人の居住の用に供されている宅地のみ(120㎡)が、特定居住用宅地等として80%評価減の対象になりますので、注意が必要です

『家なき子』がいる場合

 上記の例の場合において、相続人となる者が2階部分に居住している長男の他にいわゆる『家なき子』に該当する次男がいる場合には、この次男は特定居住用宅地等の80%評価減の特定を受ける事が出来るのでしょうか?

家なき子が特例を受ける為には?

 『家なき子』が特定居住用宅地等の特例を受ける為の要件の1つに『被相続人の配偶者又は相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族がいないこと』という要件があります。
 この例の場合、被相続人の配偶者は既に他界していますので、『被相続人の配偶者がいないこと』という要件は満たしております。

 問題は、『被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族がいないこと』という要件を満たすか否か?です。

居住用家屋に居住していた親族とは?

 では、『被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族』とは、どのような親族を指すのでしょうか?

 ここでいう親族とは、『同一の家屋において被相続人と共に起居していたものをいう』とされています。

 つまり、同じ家屋内で起居を共にしていた親族が該当する訳です。

構造上区分された独立部分がある場合は?

 しかし、被相続人が居住の用に供していた家屋が、その構造上区分された独立部分を有しており、その区分された独立部分の一つにその被相続人が居住していた場合には、その被相続人が居住していた独立部分に居住していた親族が、『被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族』に該当します。(相措通69の4-21

他の独立部分に居住している親族は?

 この例でいえば、1階部分に居住しているのは被相続人のみであり、長男は2階部分に居住しています。

 この長男のように他の独立部分に居住している親族は、『被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族』には該当しません。

 よって、家なき子である次男が特定居住用宅地等の特例を受ける為の要件の1つである『被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族がいないこと』という要件を満たす事になるのです。

 従って、家なき子である次男も当該宅地を相続し、保有継続要件を満たせば、80%評価減の特例を受ける事が出来るという事になります。

 もちろん、長男も要件を満たせば、80%評価減の特例を受ける事が出来ます。

 兄弟仲良く特例を受ける事が出来て、まさに『めでたし、めでたし』ですね。

限度面積の拡大

 なお、平成27年1月1日以後に開始した相続からは、上記特定居住用宅地等の特例対象となる限度面積が、従来の240㎡から330㎡に拡大されておりますので、お忘れなく。

≪終わり≫

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