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相続について

小規模宅地特例と事業規模

小規模宅地特例_居住用と事業用

 被相続人の相続財産である宅地等を評価する上での重要な特例として、「小規模宅地特例」があります。

 この特例対象となる宅地等には、大きく分けて「居住用宅地等」と「事業用宅地等」の2つがあります。

居住用宅地等

 居住用宅地等とは、被相続人の居住世の用に供されていた宅地等、又は、被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等で一定の要件を満たす宅地等を指します。

 「居住の用に供されていた宅地等」という事で、要件がイメージし易く比較的馴染み易い特例ではないかと思います。

事業用宅地等

 一方、「事業用宅地等」とは、どのような宅地等を指すのでしょうか?

 では、少々掘り下げてみていく事にしましょう。

事業用宅地等

 この「事業用宅地等」は、大きく分けて次の3つに区分されます。
   1.特定事業用宅地等
   2.特定同族会社事業用宅地等
   3.貸付事業用宅地等

共通点

 上記、1~3のいずれにも共有するのは、ある一定の「事業」の用に供されている土地等であるという点です。
 
  1の「特定事業用宅地等」とは、被相続人又は被相続人と生計を一にする被相続人の親族が営んでいる事業の用に供されている
 土地等 で、一定の要件を満たす被相続人の親族が取得ものを指します。

  2の「特定同族会社事業用宅地等」とは、一定の要件を満たす法人が営む事業の用に供されている土地等で、一定の要件を満た
 す被相 続人の親族が取得したものを指します。

  3の「貸付事業用宅地等」とは、被相続人又は被相続人と生計を一にする被相続人の親族が営んでいる事業の用に供されている
 土地等 で、一定の要件を満たす被相続人の親族が取得したものを指します。

いずれにしても共通しているのは、ある特定の「事業」の用に供されている土地等である、という点です。
 

相違点

 しかし、同じ「事業」といっても1~3でいう「事業」は、その内容が大きく異なっているのです。

 では、どのように異なっているのでしょうか?見てみましょう。

「事業」の意味合いの違い

 「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等、「貸付事業用宅地等」でいう『事業』には、下記のような違いがあります。

不動産貸付業等を含むか否か

 「特定事業用宅地等」と「特定同族会社事業用宅地等」でいう「事業」からは、「不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業」が除かれています。(措法69条の4 ③項一号

 なお、「準事業」とは、「事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で、相当の対価を得て継続的に行うもの」を指します。(措令40条の2

 一方、「貸付事業用宅地等」でいう「事業」とは、「不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業に限る」とされています。(措令40条の2⑥項

 つまり、「貸付事業用宅地等」でいう「事業」とは、「特定事業用宅地等」と「特定同族会社事業用宅地等」において「事業」の範囲から除外されているものが、そのまま該当する事になるのです。

事業と称するに“至る”事業とは?

 上記のとおり、「特定事業用宅地等」と「特定同族会社事業用宅地等」における「事業」の範囲からは、準事業つまり、事業と称するに“至らない”事業が除外されています。
 
 では、事業と称するに“至る”事業とは、どのような事業を指すのでしょうか?

所得税法上の事業であれば該当

 事業と称するに“至る”事業か否か?は、あくまでも事実認定による事となるのが原則です。

 しかし、その事業が少なくとも所得税法上の「事業」に該当するものであれば、小規模宅地特例の適用上も事業と称するに“至る”事業として取り扱われるでしょう。

具体例

 事業と称するに“至る”事業の具体例としては、例えば、太陽光発電事業における「一定の管理を行っている場合の全量売電事業」等は、事業と称するに“至る”事業として取り扱って差し支えないものと考えられます。

事業規模を問わない

 一方、「貸付事業用宅地等」でいうところの「事業」、つまり「不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業」については、その規模、設備の状況及び営業形態等を問わずその全てが該当する事とされています。(措基通69の4-13

 よって、例えば、不動産賃貸業において「5棟10室基準(所基通26-9)」を満たさず、「事業的規模でない」とされる不動産賃貸業であっても、貸付事業用宅地等でいうところの「事業」には該当する事になります。

 以上のとおり、同じ「事業」であっても「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」及び「貸付事業用宅地等」のそれぞれにおいては、その意味合いは、大きく異なっているのです。

≪終わり≫

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