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相続について

普通養子縁組の条件

普通養子と特別養子

 養子制度のには、普通養子と特別養子という二つの制度があります。

 これらの制度は、養子となる為の手続きは勿論のこと、養親や養子となる為の条件、実親との関係や離縁等の点において多くの相違点があります。

 では、先ず「普通養子」について詳しくみていく事にしましょう。

普通養子縁組の条件

 ひと口に普通養子縁組といってもそれを実現するには、いくつかの条件を満たす必要があります。

 では、その条件とは何か?一つずつ見ていきましょう。

(条件1)養子をとる事が出来る年齢

 養子をとろうとする者、つまり養親となる者は、成年に達している必要があります。(民法第792条

 但し、ここでいう「成年」とは、「二十歳に達した者」という意味ではありません。

 勿論、満二十歳に達していれば成年ですが、満二十歳に達していなくても婚姻をしている者は、成年とみなされます。
民法第753条

 よって、たとえ二十歳未満の者であっても婚姻をしていれば、養子をとる事が可能になります。

(条件2)目上の親族や年上は養子にとれない

 自分からみて年上の者や尊属に該当する者を養子にする事は出来ません。(民法第793条

 よって、たとえ自分より年下であっても叔父や叔母を養子にする事は出来ないのです。

 例えば、自分がある人の養子に入ったとします。

 その養親の弟(叔父)や妹(叔母)は、自分より年下になるケースも有り得ますが、その叔父や叔母を自分の養子にする事は出来ない、という訳です。

 一方、自分の弟や妹は、自分の養子にする事が可能です。

 自分の養子とする事で、弟や妹を第一順位の法定相続人とし、確実に遺産を遺してあげられるという訳です。

(条件3)後見している者を養子にとる場合の許可

 後見人が、後見人によって保護される未成年被後見人や成年被後見人を養子にとる場合には、養子となる者の住所地域にある家庭裁判所の審判を得る必要があります。
 また、後見人の仕事が終わったとしてもその財産管理の計算が終わらない内も同様です。
 (民法第794条

 姪っ子の財産を管理している未成年後見人のおじが、その財産を着服していた事実を隠したり、財産管理の失敗を隠す為にその姪っ子を自分の養子にする等といった不正を防止する為の規定です。

(条件4)夫婦共同でしなければならない

 夫婦が未成年者の養子をとる場合には、その夫婦の両方が養親とならなければならず、夫又は妻がの一方のみが単独で養親になる事は出来ません。(民法第795条
 
 「未成年の養子を育てるには、夫婦の協力が必要」という趣旨から設けられた規定です。

 但し、下記の場合には、たとえ養子となる者が未成年者であっても夫又は妻の一方が単独で養親となる事が出来ます。
  ■配偶者の嫡出子を養子とする場合
    配偶者の前の婚姻で生まれた嫡出子を養子をする場合には、単独で養親となる事が出来ます。

    例えば、妻が前の婚姻で生んだ嫡出子を夫が養子とする場合には、妻の方でわざわざ自分の嫡出子を養子とする必要は
    無い為、夫が単独で養親になる事が出来る、という訳です。

  ■配偶者がその意思を表示する事が出来ない場合
    配偶者が病気や行方不明等の理由で養親となる手続きがとれない場合には、夫又は妻が単独で養親になる事が出来ます。
 
    養子となる者が未成年の場合において、夫又は妻の一方が単独で養親になる事が出来るのは、上記の場合に限定されて
    います。

    よって、例えば、妻が今の夫と婚姻する前に未婚の内に産んだ非嫡出子を養子にする場合には、夫のみならず妻も養親と
    なる手続きが必要になるのです。

    なお、成年者を養子とする場合には、夫又は妻の一方が単独で養親となれます。

(条件5)配偶者の同意が必要

 婚姻している者が養親となる場合、又は、養子になる場合には、自分の配偶者の同意を得る必要があります。(民法第796条

 配偶者が知らない間に共同相続人となり得る人が生じていると困るからです。

 但し、次の場合には、配偶者の同意を得る必要はありません。
  ■自分の配偶者と一緒に養親になる場合、又は、養子となる場合
  ■配偶者が病気や行方不明等の理由で、その意思を表示出来ない場合

 なお、同意したからといって、その同意した者も必ず養親又は養子になるという訳ではありません。

(条件6)養子が15歳未満の場合

 養子となる者が15歳未満の場合には、その者を代理する親権者、又は、未成年後見人といった法定代理人が本人に代わって養子縁組を承諾します。(民法第797条1項

 よって、満15歳に達した者は、法定代理人の同意無しに自分の自由意思で養子縁組を行う事が出来ます。

 なお、親権者又は未成年後見人の他に養子となる者の父母で監護者となるべき者が別に定められている場合には、親権者又は未成年後見人は、その監護者の同意が無ければ、養子縁組の承諾をする事は出来ません。(民法第797条2項

 これは、監護者がいるにも拘らず、監護者が知らないところで養子縁組が成立してしまうと、その後は養親が養子の看護を行う事となり、監護者の監護権が一方的に奪われてしまう、という問題を回避する為に設けられている規定です。

(条件7)未成年者を養子にする場合

 未成年者を養子とする場合には、その子の住所地域にある家庭裁判所の許可を得なければなりません。(民法第798条

 これは、子を喰いものにするような人身売買的養子を封じる為に設けられている規定です。
 
 なお、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合には、家庭裁判所の許可は不要です。

(条件8)養子縁組の届出が必要

 
 養子縁組は、その届出が市区町村役場に受理されて初めて成立します。(民法第799条

 また、その養子縁組の届出は、養子縁組をする者双方と成年の証人二人以上とにより口頭又は署名した書面で行う必要があります。

≪終わり≫

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