養子縁組届出の受付・外国にいる日本人同士の養子縁組
養子縁組届出の受付
養子縁組は、その届出が市区町村役場において受理されてはじめて成立します。
よって、養子縁組をしようとする当人同士の間で合意するだけでは、養子縁組は成立しない事になります。
婚姻規定の準用
養子縁組の届出を行う際の要件については、婚姻届出を行う際の規定が準用されます。(民法第799条)
〔成年被後見人の養子縁組〕
養子縁組の届出については、婚姻届出の規定が準用される為、成年被後見人が養子縁組を行う際には、その保護者である成年後見人の同意は不要となります。
これは、民法第738条において「成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない」と定められており、この規定が養子縁組届出の際にも準用されるからです。
成年後見人は、成年被後見人である本人に代わり、一切の法律行為を代理します。
しかし、いくら成年後見人といえども婚姻を代理する訳にはいきませんから、婚姻届出については、成年被後見人は、成年後見人の同意を不要としているのです。
養子縁組届出も同様に成年後見人が養子縁組を代理する事は出来ない為、成年被後見人が養子縁組を行う際には、成年後見人の同意は不要とされている訳です。
〔受理されてはじめて成立する〕
婚姻は、婚姻届出書が市区町村役場に受理されてはじめて成立します。(民法第739条)
養子縁組も同様にその届出書が、市区町村役場に受理されない限り成立しないのです。
よって、養子縁組をしようとする当人同士の間で合意したというだけでは、養子縁組は成立せず、
法律上は他人同士のままとなってしまいます。
なお、養子縁組の届出は、養子縁組を行う者双方と成年の証人二人以上とにより、口頭又は署名した書面で行わなければなりません。
これも婚姻の届出を行う場合と同様となっています。
違反が無い事を確認してから受理される
市区町村役場は、養子縁組の届出が、養子縁組の適用要件や戸籍法その他家事審判法等の法令に違反していない事を確認した後でなければ、受理する事が出来ません。
受付は形式審査
養子縁組の届出は、その届出が市区町村役場に受理されてはじめて成立します。
また、その届出に法令違反等が無い事を確認した後でなければ、市区町村役場は受理する事が出来ません。
逆を言えば、市区町村役場においては、養子縁組の届出に法令違反が無く形式的に整ってさえいれば、これを受理しなければならず、その届出の内容が果たして真実に合致しているか否かを審査する権限は無いのです。
これを「形式的審査主義」と呼びます。
よって、例えば、養子になる者が脅迫されて養子縁組に同意していたとしても、書類や適用要件を形式的に満たしてさえいれば、市区町村役場はこれを受理しなければならないのです。
この点、怖い気がしますね。
外国にいる日本人同士が養子縁組をする方法
外国にいる日本人同士の間において養子縁組をしようとする場合は、どうすれ良いのでしょうか?
大使等へ届け出る
外国にいる日本人同士の間において養子縁組をしようとする場合には、その国に駐在する日本大使、公使又は領事に養子縁組の届出を行う事が出来ます。(民法第801条)
郵送でも可能
外国にいる日本人同士の間において養子縁組をしようとする場合のその養子縁組届出は、郵送により外国から市区町村役場へ提出する事も可能です。
婚姻届出の規定を準用
外国にいる日本人同士の間において養子縁組をしようとする場合も日本においてする婚姻届出の規定が準用されます。
従って、その養子縁組届出が受理されてはじめて成立する事となり、また、養子縁組を行う者双方と成年の証人二人以上とにより、口頭又は署名した書面で行わなければなりません。
≪終わり≫