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相続について

養子縁組が無効となる場合

養子縁組が無効となる場合

 折角成した養子縁組が無効となってしまう場合があります。

 無効とされるケースは、「養子縁組をする意思が無い場合」と「養子縁組の届出をしない場合」の2つに限定されているのです。
民法第802条

養子縁組をする意思が無い場合

 養子縁組が無効とされる第一のケースは、「人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき」とされています。

 つまり、養子縁組をしようとする当事者間に養子縁組の意思が無いという場合です。

 例えば、どのようなケースが想定されるでしょうか?

人違い

 条文上の例として「人違い」が挙げられています。

 例えば、Aが甲を養子にしようと考えて、養子縁組の手続きをとったとします。

 ところが、よくよく調べてみると甲だと思っていた養子が実は乙であった、というケースです。

 この場合、Aには乙を養子にする意思は無い訳ですから、この養子縁組は無効となるのです。

 まあ、戦後間もない混乱期であればまだしも現代社会においては「人違い」で養子縁組をしてしまうケースは極て稀と言えるでしょう。

同意を得ない縁組届出

 養親又は養子のいずれかの同意を得ない養子縁組届出も無効となります。

 例えば、「財産を不当に手に入れる為」とか「成年後見人が、自分が管理している成年被後見人の財産を誤魔化す為」といった目的の為に相手が知らない内に届出た養子縁組は、無効とされます。

形式だけの養子縁組である場合

 養子縁組は形式だけであり、そこには養親・養子としての実態が伴っていない場合もその養子縁組は無効とされます。

 例えば、次のようなケースが考えられます。

 甲の血縁者は姉だけであり、その姉とは非常に仲が悪い為、自分の財産を相続させたくない。

 そこで甲の知人を養子として迎え入れる養子縁組の届出を行うというケースです。

 確かにこのようにすれば、甲が死亡した場合の財産は、法定相続人である養子のものとなります。

 このような形式だけを取り繕った養子縁組は無効となる場合があります。

〔無効の主張が難しい場合も〕

 しかし、「その養子縁組は形式上だけであり、実態を伴っていないからその養子縁組は無効だ!」と主張しようとしても、その主張はそんなに簡単ではありません。

 何故なら、「無効だ!」という主張は第三者の主張だからです。

 養子縁組をしている当人同士が「この養子縁組は形式上だけでなく、真に養子関係を築いている!」と反論されてしまえば、これを覆すのはそう簡単ではありません。

〔客観的事実が必要〕

 このような場合、その養子縁組が「形式だけであり、真の養子関係が存在しない」という事を客観的事実に基づいて証明する必要があります。

 「真の養子関係が存在しない」という客観的事実の例としては、次のような事項が挙げられます。

   ■当事者同士の間に親子と呼ぶに相応しいだけの時間的・質的に十分な人間関係が形成されているか否か?

   ■養子縁組後、当事者同士の間に親子と呼べるだけの交流が実在するか否か?

 上記のような事実を確認した上で、その養子縁組には「真の養子関係が無い」と判断されて初めてその養子縁組が無効とされるのです。

養子縁組の届出をしない場合

 養子縁組が無効とされる第二のケースは、「当事者が縁組の届出をしないとき」とされています。

 養子縁組は、その届出が市区町村役場に受理されて初めてその効力を成します。(民法第799条

 よって、養子縁組をしようとする当人が、養子縁組の届出をしなければ、当然に養子縁組は成立せず、無効となってしまいます。

 まあ、これは当然と言えば当然ですね。

方式を欠いているだけなら有効

 養子縁組の届出を行う際には、婚姻届出を行う際の規定が準用され、『養子縁組をする者双方と成年の証人二人以上とにより、口頭で又は署名した書面でしなければならない』とその届出の際の方式が定められています。

 よって、この方式を満たしていない養子縁組の届出は、一見すると無効とされてしまいそうですが、このような方式要件を欠いているだけの養子縁組の届出は、有効とされるのです。
民法第802条2項

養子縁組の無効の訴え

 養子縁組の無効を主張する場合には、どうすれば良いのでしょうか?

この場合、先ずは、家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。
(これを『調停前置主義』と呼びます)

そして、その調停の場で協議がまとまれば解決なのですが、相手方から異議を申し立てられ審判がまとまらなかった場合には、家庭裁判所に対し、養子縁組の無効を求める訴え、つまり裁判を提起する事となります。

≪終わり≫

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