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相続について

養子縁組の取り消し

養子縁組の取り消し

 一旦は成立した養子縁組であってもその成立条件を欠いているとその養子縁組は取り消しの対象となります。

取り消しの理由

 養子縁組の取り消し理由は、『養子縁組が成立する為の条件を欠いている場合』に限定されており、具体的には、下記の事由が列挙されています。

 ■養親が未成年である場合(民法第804条

 ■目上の親族や年上を養子にした場合(民法第805条

 ■後見人が被後見人を無許可で養子にした場合(民法第806条

 ■配偶者の同意を得ずに養子縁組をした場合(民法第806条の2

 ■子の監護者の同意を得ずに養子縁組をした場合(民法第806条の3

 ■未成年者の無許可で養子にした場合(民法第807条

 ■騙されたり脅迫されていた場合(民法第808条

取り消しの請求先

 養子縁組の取り消しは、家庭裁判所に対して行う事となります。

 また、その請求をし得る者は、取り消し請求の理由毎に定められています。

無効と取り消し

 養子縁組が「無かった」事とされる事由には、上記の「取り消し」の他に「無効」というものがあります。

両者の違いは?

 では、「無効」と「取り消し」とでは、どのような違いがあるのでしょうか?

 「無効」も「取り消し」も「その法律行為の効力を否定する」という意味では同じと言えます。

 しかし、両者は否定に至るまでの過程が異なっているのです。

「当初から」or「後から」

 「無効」は、法律行為の効力が当初から生じていなかったものとして否定するのに対し、「取り消し」は、法律行為の効力が一旦は成立したものの取り消しの意思表示により、その成立時に遡って後から否定する点に違いがあります。

 つまり、「当初からその法律行為は効力を生じていなかった」として否定するのが「無効」であり、「一旦は効力を認めるが、後でその効力成立時に遡って否定する」のが「取り消し」という事になります。

養子縁組の無効

 養子縁組が無効とされる場合というのは、次の2つの事由に限定されています。(民法第802条

 ■人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき。

 ■当事者が縁組の届出をしないとき。

いずれの事由も「当初から養子縁組の効力が生じていなかった」と言える事由であり、民法第804条から第808条において定められている取り消し事由とは、その性質を異にしていると言えます。

≪終わり≫

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