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相続について

養子縁組の取消し_養子が尊属又は年長者である場合

尊属や年長者を養子には出来ない

 養子をとる際の条件の1つに「自分よりも尊属や年長者を養子にすることは出来ない」というものが
あります。(民法第793条

 では、詳しくみてみましょう。

尊属を養子にする事は出来ない

 親等図を描いた際に自分からみて父母や祖父母、おじ・おば等の上位に属する者を尊属と言います。

 この尊属に属する者を自分の養子にする事は出来ません。

 例えば、A子を養子にしようとする際、そのA子が自分のおばに該当する場合には、A子を養子にする事は出来ないという訳です。

たとえ年下でも尊属であれば養子に出来ない

 民法第793条においては、自分の尊属を養子に出来ない旨を定めていますが、ここで注意すべきは、その尊属についての年齢を問うていないという点です。

 つまり、たとえ自分より年下であってもその者が自分の尊属に該当する場合には、その者を養子にする事は出来ないのです。

 通常であれば、自分の尊属に該当する者が自分よりも年下であるという事はないでしょう。

 しかし、自分自身が養子である場合には、あり得る話なのです。

 例えば、自分自身が大分年齢を重ねてからある人(養親)の養子になったとします。

 そうすると、その養親の兄弟姉妹は、自分からみると「おじ・おば」に該当する訳ですが、年齢的にはそのおじ・おばの方が年下になるという事もあり得るのです。

弟妹は養子に出来る

 上記のとおり、尊属は養子にする事は出来ません。

 しかし、逆を言えば「尊属以外」なら養子に出来るという事になります。

 つまり、自分の弟や妹なら養子にする事が出来る訳です。

 自分の弟妹を養子にすると、その弟妹は自分の実子扱いになります。

 これにより、自分が被相続人となった際に弟妹が第一順位の法定相続人となる為、相続面で有利にさせる事が可能となるのです。

年長者を養子にする事は出来ない

 自分よりも年上の者を養子にする事は、出来ません。

 通常、自分の尊属に該当する者は、自分よりも年上でしょうからその者を養子にする事は出来ません。

 一方、自分の卑属に該当する者であれば、通常は自分よりも年下でしょうからその者を養子にする事が出来ます。

卑属でも年上であれば養子に出来ない

 しかし、卑属であっても自分より年上になる場合があります。

 例えば、自分の兄の子、つまり、自分からみると甥姪にあたる者(B)があるとします。

 この場合において、自分の方がBよりも年下であり、且つ、自分が兄の両親の養子だったとすると
「自分よりも甥姪の方が年上」という事態が生じます。

 そうなると、Bは自分よりも年長者に該当する事となり、Bを養子にする事は出来ないのです。

条件違反の養子縁組は取消しの対象となる

 上記のとおり、自分の尊属に該当する者や自分より年上の者を養子にする事は出来ません。

 では、もし誤ってこれらの者を養子とする養子縁組の届出書が受理されてしまった場合は、どうなるのでしょうか?

家庭裁判所に取消しを請求する

 条件に違反する養子縁組がなされた場合、その当事者である養親や養子、又はその親族は、家庭裁判所に対し、その養子縁組を取消す旨の請求をする事が出来ます。

≪終わり≫

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